ある日の朝
ガラガラ
ピピッ
ピピッ
プツン
ガラガラ
バイタル=血圧、脈拍、体温、酸素濃度のこと
ガラガラ
✉️: 先生、研修です
✉️: わかった
廉サイド
俺はあなたちゃんにずっと付きっきりだった。
服が汗でびしょ濡れだったので新しい服に着替えさせるのと同時に、看護師からもらった蒸しタオルであなたちゃんの身体を拭いた。
着替えさせても汗が出てくるから、常にタオルを持ってあなたちゃんの顔を拭いた。他の子のカルテを書きながらでも頭の中はあなたちゃんのことでいっぱいだったし、あなたちゃん以外の俺担当の子は比較的症状が軽い。はっきり言って、他の子なんてどうでもよかった。
さっきからあなたちゃんの汗は止まることを知らない。タオルで拭き過ぎたのか、顔が汗でかぶれてる。薬を塗った方がいいのかもしれない。
俺はダッシュで医局へ走った
俺はまたダッシュであなたちゃんのICUへ走った
ガラガラ
片方の手で頭をあげ、もう片方の手で氷枕を滑り込ませる。
かぶれてる顔を見て気づいた。
俺はほんまにアホや、何しに医局行ってん
ガラガラ
薬剤部: わかりました
プツン
なんでや、なんであなたちゃんはこんなに頑張っとるのにこれ以上苦しめるん?
もうやめてあげてや、お願いやから早く戻してあげてや。またあなたちゃんの可愛い笑顔が見たいんや、あなたちゃんと一緒に時間を過ごしたいんや...
~作者です~
見て見て!
いや~、ほんとにみんなありがとう!
これからもがんばります!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!