現在の時刻、12時56分。
じんたんと居れるのも今日が最後だ。
今日は何がしたいのか聞いてみると…
なんでそんな嬉しいこと言ってくれるわけ…?
余計離したくなくなっちゃうじゃん。
俺は快くOKして玄関の扉を閉める。
そう、ここはじんたんと同居を始めたアパート。
あの頃は毎日がキラキラしていた。
もちろん今もだけど…
新しい生活に胸を踊らせていた。
じんたんがOKしてくれると思ってなくて…
凄くびっくりした記憶が今でも鮮明に思い返せる。
なんでそこまでして俺がじんたんを誘ったか…
それは
相棒として、好きな人として、じんたんが欲しかったから。
「手に入れないと後悔する」
俺の中の本能がそう叫んでいたから。
じんたんは微笑みながらアパートを見つめている。
その横顔を見ていると、胸がギュウッと締め付けられた。
じんたん。
じんたん。
じんたんは俺の言葉を遮った。
どうやら、俺はかなり寂しそうな顔を無意識でしていたらしい。
そうだよ、俺。しっかりしろ。
じんたんとの時間はあと少しなんだから。
笑顔でいろよ。
俺たち2人は一言も喋らずにひたすら歩いた。
この限られた時間で様々な場所を巡った。
じんたんと出会った場所。
じんたんとMVを撮った場所。
過去1キツかった企画をした自販機。
思い出を一つ一つ噛み締めるように歩いた。
気づけば午後17:06 になっていた。
そろそろ行かなければ。
俺たちは夕日が傾き始めている中、じんたんの事故現場へと向かった。
お別れするために。
……To be continued
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。