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『コオリとオフショル』
☆1☆
「なぁ?なに食べとるん?」
ふたりで帰ってきた部屋が暑くて、
「クーラー早よきけぇ〜」ってサーキュレーターに顔を近づけてる流星が、聞いてきた。
「フェ?…ヲヲヒメノホホウィ…」
冷凍庫を閉めながら そう答え、溶けた雫が滴りそうなのを、慌てて “じゅるっ!” っとした私。
堪らず ガリッ!っと噛んだら、秒で無くなる。
もう一つ、大きめの氷を頬張って、流星がダラけてるソファーへ、無理やり座った。
「俺にも ちょうだい?」
仰向けでサーキュレーターを抱え込み、私の顔も見ずにおねだりする。
「自分で取ってきなよ〜」
小さくなっていく氷を惜しみながら、流星の長い足を肘掛けにして、私も暑さにダラける。
☆2☆
そんな私に観念したのか、急に動き出すから、私の肘は支えを無くして、だらん…っとソファーに落ちた。
「……ちゃうわ…」
と、背もたれ沿いに私の肩へと周った流星の腕が…
アゴを軽く すくわれた瞬間に、丁度よくウナジに沿う…
そして私は、一瞬で流星のペースに呑み込まれる。
冷えた私の唇をテリトリーに収めると、その根源を奪っていった。
ガリッ!
「もぉ〜私の氷…」
「ふっw いただきw」
そう言って右の口角だけ上げ、去って行く。
丁度よかった腕が無くなり、頭がストンっと背もたれに落ちた。
奪われて分かる尊さ。
「りゅぅ〜せぇ〜〜私のもぉぉぉ〜〜」
足をバタつかせ おねだりすると、
「ヒャッ!!!」
☆3☆
「ヒャッ!!!」
後ろから、私の首筋に触れた氷。
それを流星が、頬張った。
「ふふっw お前の味…」
ニヤけながら そんな風に言う流星が、私は好き♡
だってほら…
また流星のペースに呑み込まれるのが分かるから。
簡単に背もたれをまたぐと、
簡単にまた私のテリトリーに入って…
「持ってきて やったよ?」
頬張った氷を餌に、私を釣る。
「ふふっw ありがとうw」
私の気に許されたのを確認すると、氷をチラつかせながら、私の身体を、思いのままに押し倒した。
☆4☆
私の欲求が、そんな流星の首に手を回し、優しく引き寄せた。
艶めかしく私の唇を冷やした その氷は…
ふたたび 流星の唇を冷やす。
そしてその氷は そのまま、首すじを滑り 冷やすと…
雫になり、滴る感触。
それは、くぼみに溜まり…
“じゅるっ!”
「オフショル最高w」
「ふふっw キライって言ってたくせにw」
「お前となら、何でも最高やのw」
私も氷もオフショルも…
流星のペースに呑み込まれていった♡
☆fin.☆
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。