第8話

繋がり
57
2020/07/24 05:47
「莎良!」

大きな声で莎良を呼ぶ。

週の真ん中の平日なだけあって、人は少ない。
だから少しくらい大きな声を出したって大丈夫。

「はしゃいでんな、何処行く?」

久しぶりにこんな所来たかも…、やりたい事
いっぱいあるんだけど…、今日は…、

「お揃いの物買おう!」

「ん、いいけど、何が欲しいの?」

何が欲しい、と言われると分からなくなる。
莎良とお揃いの物持ちたいだけだし…。

「…ピアス、…どう?
それならいつでもお揃いだし!」

俺らがまだ友人の時、一緒にピアスの穴を開けた。
そんな思い出も振り返れる物があったら素敵だなぁ、なんて。

「…ん、探し行くか。」

少し時間がかかって応答が来る。

…あ、莎良も思い出してくれたのかなぁ。
勝手に舞い上がってしまう。

…楽しみだなぁ。

マップを片手に持って、歩き出す。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「…ここか、案外遠かったな」

「確かに…」

正直大型ショッピングモールを舐めてた。

…こんなにお店がたくさんあったら迷っちゃうって!

「なんか似合うピアス探すか、色違いとか
いいよな」

「〜っ、うん」

あまりファッションに興味の無い莎良が
自分からアクセサリー選びをしようとしてくれて
嬉しい。

ファッションに興味が無い、ってだけで
センスは超いいんだけどね。

「あ」

「…どうしたの?」

ピアスが沢山ある場所で莎良が立ち止まる。
何かいいピアスがあったのかな、そう思って
視線を辿る。

「…ピンク?」

「や、お前ピンクの入った衣装良く着てんじゃん…?
だからこれも似合うかなって」

…ちゃんと見ててくれてるんだなぁ。
莎良が俺の出てくれる番組だったり、
ライブだったり、見てくれてるのは知ってるけど。

「嬉しい!それにする!」

こんなにも、俺の事を想ってくれるのが
嬉しくて、嬉しくて。

思わず笑顔になってしまう。


「おう、わかった、このピアス色んな
色あるから俺の選んでよ、麦。」

…あ、莎良が楽しい時にする笑顔。

「〜っ、うん!」

莎良に似合うピアスか〜、莎良はイケメンだから
なんでも似合うけどな〜。

…でもやっぱり、この色だよなぁ。
莎良に贈り物をする時は、いつもこの色が
入った物を選んでいる。

「莎良、この藍色のピアス似合うと思う」

「…お、綺麗だな、なんかめっちゃ見覚え
ある色だけど」

少し笑いを帯びた声で莎良は言う。

「だって似合うからしょうがないじゃん!」

「…っ、ありがとう、会計してくるな」

莎良が会計へ行って素早くこちらへ戻ってくる。


「…ん、これ、今つける?」

「わ、会計ありがとう、つけよう!」

俺の耳には、莎良の選んでくれたピアス。
莎良の耳には、俺が選んだピアス。

「似合ってるよ、莎良」

「お前もな」

「当たり前でしょ、莎良が選んでくれたんだからっ」

また、こうやってお揃いの物が増えていくのが
嬉しい。

莎良との繋がりが、増えたみたいで。

「…莎良、大好き」

「ふ、俺も」

でもきっと、俺らを繋いでるのはお揃いの物
なんかじゃなくて。

お互いを想い合う、この気持ちが俺らを
繋いでくれる。

変わらない色の贈り物を。

変わらない愛を、贈り続けて。


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昨日ぶりですねこんにちは!!!

元々前回よりこっちのアイデアの方が先に
出ていたので早く更新出来ました〜やった〜。

今回お会計というワードが出てきました。
麦と莎良はお金を一緒に管理しており、
2人で一緒にお出かけする際は「共用お財布」
を持って出かけます〜!
出先の食事代だったり、今回の様なお揃いの
物買ったりする時に使います!


次回も「RTだけはご勘弁」をよろしくお願い致します!




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