私を抱き抱えるように腕を回してくるウォヌの腕を軽く叩いても
抱きしめる力が更に強くなるだけだった
聞き慣れた音に目が覚める
気付けばカーテンの外は明るくなっていて、
私はしっかりとベットに寝ていた
お腹の周りが重い
不機嫌そうな掠れた声
うっすらと開いた目は私を見つめていて
でもダメだ 今日は行かないといけない
これ以上休めないし、スンチョルさんのこともある
眠そうに閉じられていた目が見開かれて
ゆっくり口角が上がっていくウォヌにつられて 笑みがこぼれる
なんて自慢げに呟いてから少し惜しそうに私から手を離した
改めて言われると少し恥ずかしくて頷きながらベットを出る
仕事用の服に着替えて軽く身支度をすれば、
後ろから チンッ とトースターの音がした
ウォヌがパンを焼いているらしい
そう言って 今焼いたであろうパンにバターを塗り 私の愚痴に突っ込んできた
モゴモゴと食べながらお礼を言う
コーヒーを啜るウォヌを見ながら 数日の間に
あまりにも身の回りが変わったなぁと思った
飼い猫が人になって すきだと告白され 私もと
両想いになり
不思議なものだ だが幸せの方が大きくて
声をかけると目線が合う
いろんな意味を込めた
ありがとう
ウォヌはきっと分かってくれるだろう
たった一言に込めたいろんな感情に
微笑む顔に見とれていたら 時間は着々と進んでいた
焦って残りのパンを飲み込み 鞄を持って靴を履く
ヒラヒラと手を振るウォヌに見送られて家を出た
会社についていつも通り自分の机に向かって仕事をしていれば 後ろからスンチョルさんの声が聞こえてきた
振り返って目を見つめれば 困ったように微笑み返される
足早に自分の机に向かい 荷物だけ置くと戻ってきたスンチョルさんと一緒に 自販機のある休憩所へ向かった
スンチョルさんがお茶を買って渡してくれたので お礼を言ってから話を切り出す
反応が薄い
そっと隣を見ると 両手で握りしめたペットボトルをじっと見つめている
知らなかった 私をすきなんて
私からしたらスンチョルさんは優しい先輩で
それ以上でもそれ以下でもない存在だった
ははっとわざとらしい笑い声が耳に届く
余計な事は言えないし その気持ちには応えられない
なんて言えばいいんだろう
スンチョルさんは心を読んだかのようにそう言って 腰を上げた
見上げればいつも通りの笑顔のスンチョルさんが
いる
そう言う声が少しだけ震えていた事には気付かないフリをした
全然更新できていなくてすごく間が空いてしまい本当にすみません💦
もうすこしこのお話にお付き合いしていただければなと思います😖
❤︎ ★ 💬 たくさんお待ちしております😊
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!