第2話

2 彼のぬくもりは
1,462
2019/11/05 12:00
ウォヌ
ウォヌ
……
○○
○○
……
とりあえずダイニングテーブルに向かい合って座っている私達。
どうすればいいのこの状況




グゥ


というお腹のなる音が聞こえた
○○
○○
お腹空いたの?
ウォヌ
ウォヌ
言ったろ。腹減ってるって
私が飼い主のはずなのに、なんでこの猫……いや、この人は偉そうなんだろう

全く……

いつもこんな風に思っていたのか
○○
○○
何食べさせればいいの……?
キャットフード……?
ウォヌ
ウォヌ
それはやだ。
さっき食べたらまずかった。
○○
○○
(食べてみたんかい)
○○
○○
ちょっと待ってて
立ち上がりキッチンへ向かう


カップラーメンがいくつか残っていたはずだ
それを食べさせよう
お湯を沸かせて注ぐ

カップを男の前に置けば、不思議そうに見つめている。
○○
○○
いいよって言うまで開けないで。
○○
○○
お箸は使えるの??
ウォヌ
ウォヌ
あぁ、いつも見てたから多分使える。
お箸を渡せば器用に カチカチ と鳴らした
○○
○○
あ、3分たったね
蓋を開けてホカホカと湯気をたてるラーメンを躊躇いなく箸で掴んで口に入れた。
○○
○○
待って、猫って熱いの無理なんじゃ.......
ウォヌ
ウォヌ
うま
なんだ大丈夫なんだ。
○○
○○
それは良かったですね
ズルズルと勢いよく食べている隣にお茶を置いてから向かいの椅子に座って、じっくりと観察する。
よく見れば綺麗な顔をしている
まぁそれは当たり前か。
ウォヌは美猫だから。
ウォヌ
ウォヌ
何。人の顔じっくり見て。
食べにくいんだけど
気づけば食べる手を止めて目が合っていた
器の中を見ればスープまで綺麗に平らげている
○○
○○
いや、まだ信じられなくて……
○○
○○
ふわふわの毛に顔埋めるのが仕事終わりの幸せだったんだけどなぁ……とか
ウォヌ
ウォヌ
すればいいじゃん。
ウォヌ
ウォヌ
いつもみたいに。
顔埋めるの。
○○
○○
い、いや、その格好ではちょっと……
元々は猫と言えど、今の見た目は立派な成人男性だ
抱きしめて顔を埋めるだけと言っても意味が違う
ウォヌ
ウォヌ
ちょっと来て
ガタリ と立ち上がって私の手を掴む
細いのに力があり、勢いもあって解けないまま引っ張られていくと、ソファに向かって歩いていく
ウォヌ
ウォヌ
ほら。いいよ
ボスンとソファに座り両腕を広げて私を見つめている
来い  ということか。
○○
○○
だから……しないって……うわぁっ
後ろに後ずさろうとした私の腕を再度掴んで今度は引き寄せた
思わず瞑った目を恐る恐る開ければ、至近距離に彼の顔がある
ウォヌ
ウォヌ
普段はやるのに、やらないとなんか変な感じするから。
ウォヌ
ウォヌ
ほら、いつも通りして。
ギュッ
っと抱きしめられた
彼の首筋に私の顔が埋まる体勢になり、久々に自分ではない人間の肌の感じと温もりを感じた
やらなければ離してくれないだろうと思い、決心してその首筋に擦り付く
すると甘えるように私の顔の横にも彼の顔が擦りついてきた
ウォヌ
ウォヌ
お疲れさん
初めて聞いたはずの低い声
なのにその声の中には 労いと優しさ、そして少しの甘さが含まれているのがしっかり分かる
その声と優しくさすってくれる手の温もりに安心した私はそのまま意識を手放した

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