流星『…』
後輩『私なら…』
流星『やめて』
後輩『…』
流星『俺はあなた以外有り得へんから』
初めて、こんな低い声を聞いた。
流星『…さっきからあなた先輩よりもって…俺の彼女のこと悪く言わんといて』
後輩『…え』
流星『…』
後輩『…分かってますか?さっき見たんですよね?』
流星『…見た』
後輩『だったら…』
流星『でも俺はあなたがやっぱり好き』
そう言って大西くんは立ち上がった。
流星『あとこれ以上、あんな事言わんといて』
後輩『…っ』
流星『じゃあ』
後輩『後悔しますよ!』
そんな後輩の声を無視して、大西くんは中庭から離れる。
流星『…あ』
あなた『…大西くん』
大西くんは私に気づいて立ち止まる。
近くで見ると分かった。
彼の瞳に涙が溜まっていたことに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!