ーーー控え室ーーー
優子「おっ!あっちゃんお疲れ〜!!」
敦子「優子。お疲れ。」
敦子が控え室へ戻ると、優子やたかみな、既に戻ってきていたメンバー達に出迎えられる。
たかみな「あれ?あっちゃん、どうしたの?」
敦子「ん?何が?」
たかみな「なんだか楽しそうな顔してるよ?」
友美「あっ、ほんとだー。めずらしーねー」
敦子「そ?いつもだよ。」
周りのメンバーにすぐバレてしまって、少し恥ずかしくなってはぐらかしてしまう。
麻里子「敦子、いい事あったの?」
敦子「‥うん。良いことっていうか、楽しみな事。」
優子「えー!なになに!?楽しみな事?教えて!あっちゃん!!」
優子は『楽しみな事』と聞いて、目をキラキラさせながら敦子に迫る。
敦子「‥‥‥さっきね、私のレーンに一人の女の子が来てくれたの。その子にね色々聞かれて、私なりの答えを言ったんだ。そしたら、その子ね‥。」
周りのメンバーが誰一人と喋らず、敦子の話に耳を傾けている。
敦子「とても可愛らしい顔で笑って言ったの。『私、00のオーディション受けます!』って。」
優子「オーディション受けるんだ!」
敦子「そう。私、あの子は絶対受かると思うの。」
たかみな「えっ、どうして?受かるかなんて分かんないよ。それは敦子もよく分かってるでしょ?絶対なんてない。」
敦子「うん。たかみな。そうなの。でもね、あの子に可能性を感じた。
私に向けたあの子の笑顔はアイドルだった。」
友美「ふーん。そんなにすごい子なんだぁー」
敦子「うん。私は、期待してる。受かって欲しい。いつか‥同じステージに立ちたいな。」
そう言って笑う敦子に、みんなが驚いた。
敦子がこんな事を言うのは初めてだからだ。
麻里子「登ってきてくれるといいね‥。その子」
敦子「うん^^」
優子「あっちゃんがそこまで言う子か〜!会ってみたいなぁ!!‥あっ!私トイレ行ってくんね!」
優子はそう言って豪快に笑いながら控え室から出る。
優子「また‥ライバルが増える‥。同じステージなんかに上がらせない。あっちゃんの隣は私だ。」
優子の小さな呟きは誰にも聞こえないまま騒音にかき消されてしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!