第21話

☀×🐹
1,805
2022/02/27 19:02
☀side


いつの日からか、お前に本当の笑顔を向けることができなくなって。
俺の頭よりも高い位置で笑顔を振りまくお前が、、
純粋で不器用で俺らにとって最愛のマンネである筈のお前が。
俺が辛い時だってチャームポイントのハムスターみたいな笑顔で励ましてくれたお前が。









チソン
チソン
っ、うぅ"っ、





陰ではあんなに追い詰めていたなんて知らなくて。
ヒョン失格だ。
チソンはまだ自分達より子供でしっかり感情のある人間だ。
一緒に活動していて、自分たちが辛いのにチソンが辛くないわけないだろ。
なんで気付けなかったんだ。
チソンに甘えていたのか…?




気付くと俺は気にも留めずチソンの方へと歩き出していた。
蹲って大きな背中が今は頼りない小さな背中。
俺に気付いたチソンは戸惑いを隠せないという顔で急いで涙を拭った。
あぁ、ごめん、本当にごめんなさい。
身長は高くても変わらないんだよ、チソンが自分達にとって愛らしい弟であることには。
なのに、
その涙を拭うことさえも自分には出来なかったんだって。
一体、どのくらい泣いたのか。
真っ赤になった目がそれを示してる。
ヘチャン
ヘチャン
ちそんあ、
チソン
チソン
ひょ、、ん
俺が差し出す手を取ってくれない。




チソン
チソン
分かってますよ、、ヒョン達も辛いもんね
チソン
チソン
僕が甘えだってことも、
チソン
チソン
全部分かってます





分かってないじゃん。
ヒョンが言いたいのはそんな馬鹿げたことじゃない。
俺達がチソンに甘えていたのに、それさえもチソンは気付かないのか。
他人の悪いところは見ず、自分の悪いところにはとことん慎重なんだ。
ヘチャン
ヘチャン
ちそんあ、
チソン
チソン
なんですか、どんひょぎひょん
ヘチャン
ヘチャン
ごめん…
チソン
チソン
…なにがですか
ヘチャン
ヘチャン
俺、ヒョン失格だ
答えになっていない、そんな内容のない答えだ。
なのにチソンは全てを聞こうとしない。
察したのか、もしくはあえて聞かないのか。





沈黙が続く、
俺とチソンにはありえない筈の状況。










その沈黙を破ったのは、




ジェミン
ジェミン
ちそんあ、どこー?





ジェミンだった。
ジェミン
ジェミン
全く…探しに行ったドンヒョクも
帰ってこないし、
ジェミン
ジェミン
ちそんは反抗期か〜?





一度目を合わせたが、
この状況をどうにかしてくれるのはきっと何も知らないあのジェミンだ。
チソンはまた涙を拭ってジェミンの元へと向かった。
その時自分から離れていくチソンに何故か胸が痛かった。
ジェミン
ジェミン
おぉ、ちそんあ〜♡
ジェミン
ジェミン
…えっと、どうしたの、なんかあった?
ジェミン
ジェミン
目赤いよ…?
チソン
チソン
なんでもないです、
目が痒いだけです
ジェミン
ジェミン
ふぅん、ちゃあんと薬塗るんだよ〜
チソン
チソン
はい
チソン
チソン
…ドンヒョギヒョン、行きますよ





立てずにぼーっとその光景を見ていた俺を呼ぶチソン。
その光景をまたジェミンは不思議そうに見つめている。
チソンと俺の関係はそこから気まずくなっていった。
もし、あの時涙で溢れたチソンを見たのが俺じゃなくて、
ジェミンだったら…?
こうはなっていなかったのかな。





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