LAN side
お昼ご飯を食べ終わって部屋にいた頃、ゆう先生が俺の部屋に来ていた。
こさめが退院して数日。
俺の隣の部屋は相変わらず1人だが、俺の部屋には新しい患者さんが来るそうだ。
声が枯れているおばあさんが、ゆう先生と一緒に入ってきていた。
やはり子どもは珍しいだろうか…?
いるま先生とゆう先生の2人がかりで、おばあさんの大量の荷物を入れていた。
…中々の大荷物だし、何より、
一歩一歩、脚を回すようにして歩いている。
靴も少し特殊な感じがするし…
ゆう先生は、こえくんなど子どもの担当が多い。
だから子どもにたくさん話しかけてくれる。
新しい同室さん。
その人が、この先命の危機に瀕するとは、この時思ってもみなかった。
部屋のスピーカーからゆう先生の声が聴こえた。
同室さんの方で鳴ったから俺は関係ないか…
気づくと、同室さんがよろよろと俺の部屋まで歩いて来ていた。
放送で呼ばれていたけど歩けるのだろうか…?
かくして同室さんとホールに行くことにした。
だが、入院している患者さんの中でもかなり耳が遠い方だったので声を張り上げていた。
無事連れて来ることができたけれど、
…新しい同室さんは、かなり具合が悪そうだ。
最初、不躾にならない程度に観察してしまったのは黒く染まった首元。
加えて歩き方もおぼつかず、さすがに心配だ。
気づくと同室さんが帰ってきていた。
やはり、首元が痛々しい…
同室さんは、首にがんがあって少し前から放射線治療をしていたらしい。
だから、首が黒くて声も掠れている…
久しぶりに、笑顔が引きつってしまったかもしれない。
がん患者さんなんて、会ったこと無かったから…
少し前の出来事、
まだこさめが居たときのこと。
…記憶の端っこが繋がってきたようだった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。