如月side
僕が小さい頃、御三家にはよく連れていかれていた。
ほぼ見合いのためにだけど。
禪院家に行ったその時に甚爾さんに会った。
呪力がないってだけで禪院家では迫害されていた。
でも当時の僕は呪力ないって事が不思議で彼の元へ何度か遊びに行っていた。
行ったところで彼は僕のことを無視するので、最初はただずっと彼のことを視つめるだけ。数回、彼の元へ通うようになると彼は、僕を構うようになった。
次に禪院家を訪れた時に甚爾さんは禪院家にいなかった。それきり。
頭が回らない。考えることが多すぎる。
今すべきことを考えなきゃ。
甚爾さんがじりじりと近づいてくる。
この状況を理解しないと。
やっぱり...!最初の傷が...!
僕もついていれば...ッ!
目の前にいたのに...!視えていたのに!!
助けられなかった!!!
禪院家を出たあとの事を禪院家の人に少し聞いた。
結婚したらしい。子供もいるとか。
なのにどうしてこんなことを...
僕の記憶の中の貴方はそんな...
態度は悪くてもそんなことする人じゃなかった!
シュッ バコンッ
視えた時には遅かった。
未来を視ても、次の瞬間にはそれが起こっている。
速いっ!!流石のフィジカルギフテッド...
しかも呪力は一切持ってない。僕と相性が最悪すぎる...!
バシッ バコッ
呪具をつかってこない...。僕の術式を警戒してるのか!
素手だけなのに、今までのどんな奴らより強い...!
天眼で先読みできているのに受けることしか出来なっ
バゴンッ
背後にまわっていた甚爾さんに、首の後ろにモロに一撃食らってしまった。
そこで僕の意識は途切れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。