第37話

35話 過去編16
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2022/02/14 08:29
夏油side
夏油
夏油
私達は最強なんだ。
薨星宮こうせいぐう本殿についた。

この任務の始まる前に、私と悟とあなたで話し合っていた。

星漿体が同化を拒んだ時にどうするか。

その時は同化はしない。

もし、天元様と戦うことになったとて、何とかなる。

『2人で最強。3人で無敵。』


...だから
夏油
夏油
理子ちゃんがどんな選択をしようと君の未来は私達が保障する。
天内
天内
...私は
天内
天内
皆と...一緒にいたい!もっと皆と色んな所に行って色んな物を見て...もっと!!
手を差し伸べた。
夏油
夏油
帰ろう。理子ちゃん。
笑顔で。

彼女は手を伸ばした。
天内
天内
...うん!!






バンッ





だが、その手を握り返すことは叶わなかった。
バタッ


彼女が目の前で倒れている。

...頭を撃ち抜かれて。
夏油
夏油
理子ちゃん?
甚爾
甚爾
ハイお疲れ。解散解散。
夏油
夏油
なんで、オマエがここにいる...。
声のする方へ視線を移すと、そこには悟を刺した男がいた。

そして...
夏油
夏油
...あなた!?
肩にあなたを抱えていた。

意識がないようだ。
甚爾
甚爾
なんでって...あぁ、そういう意味ね。
五条悟は俺が殺した。
夏油
夏油
そうか。死ね。
手持ちの呪霊の中でも高い等級のものを出して攻撃する。
甚爾
甚爾
焦んなよ。
相手も呪具の銃を撃って反撃してくるが呪霊で受ける。
甚爾
甚爾
俺もこいつを抱えながら相手すんのは本意じゃねぇ。死んだら意味ねぇしな。
そう言いながら、あなたを隅に降ろす。
夏油
夏油
何故薨星宮へ続く扉が分かった。私達は毛程の残穢を残さなかった。
甚爾
甚爾
俺が天与呪縛なのは分かってんな?人間が残す痕跡は残穢だけじゃねぇ。臭跡、足跡、五感も呪縛で底上げされてんだよ。
夏油
夏油
何故あなたを生かしている。それにもう1人女性がいたハズだ。彼女はどうした。
甚爾
甚爾
あぁ、こいつは別件で必要なだけだ。
あのメイドは多分死んでる。生かす気も殺す気もなかったけどな。
夏油
夏油
そうか。やはりオマエは死ね。
呪霊をぶつけて、その呪霊が男を食らう。
が、
男は呪霊の体を切り裂いて出てきた。



手持ちの呪霊で最高硬度の虹龍だぞ!?
甚爾
甚爾
烏合だな。
呪霊
ねぇ
呪霊
わた、わタ、わたしきれい?
手持ちの仮想怨霊切り裂き女。質問に答えるまでお互いに不可侵を強制する簡易領域を展開する。

この間に...
甚爾
甚爾
あーーそうだな。ここはあえて趣味じゃねぇ。
ギギギ
無数のハサミが男を取り囲む。
甚爾
甚爾
そういう感じね。
しかし、男は全てのハサミを1つの武器で受け流す。
呪霊
!!
簡易領域が解けた瞬間、私は男の間合いに入った。
甚爾
甚爾
終わりだな。
夏油
夏油
オマエがな。
全ては男に巻きついている武器庫呪霊を取り込むため。
甚爾
甚爾
!!
呪霊操術
降伏した呪霊を取り込み自在に操る術式。
階級換算で二級以上の差があれば降伏を省きほぼ無条件で取り込める。

能力は特殊だが、呪霊自体は強くない。取り込める!!

武器庫は押さえた。

あとは物量でゴリ押し...
バチィ


なっ...!ハジかれた!?
その瞬間、男に斬られた。
NOside
甚爾
甚爾
術師なら死なねぇ程度に斬った。式神使いなら殺したが呪霊操術となるとな、オマエの死後取り込んでた呪霊がどうなるか分からん。ここで面倒事は避けたい。
親に恵まれたな。
伏黒甚爾は倒れている夏油傑の頭を踏みつけながら語る。
甚爾
甚爾
だが、その恵まれたオマエらが呪術も使えねぇ俺みたいな猿に負けたってこと。長生きしたきゃ忘れんな。
スタスタと隅に寝かせておいた如月あなたの元へ行き、抱えあげる。
甚爾
甚爾
オマエは才能に恵まれても運命には恵まれなかったな。
甚爾
甚爾
! あー恵って。そうだったそうだった!俺が名付けたんだった。
1人でケラケラと笑いながらせっせと如月あなたと天内理子を自身に巻き付けている呪霊の中へ入れる。
そして、その場を去った。



薨星宮に残ったのは、

瀕死の倒れた夏油傑と、星漿体の運命から望まぬ形で抜け出せた少女の痛々しい血痕だった。

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