夏油side
薨星宮本殿についた。
この任務の始まる前に、私と悟とあなたで話し合っていた。
星漿体が同化を拒んだ時にどうするか。
その時は同化はしない。
もし、天元様と戦うことになったとて、何とかなる。
『2人で最強。3人で無敵。』
...だから
手を差し伸べた。
笑顔で。
彼女は手を伸ばした。
バンッ
だが、その手を握り返すことは叶わなかった。
バタッ
彼女が目の前で倒れている。
...頭を撃ち抜かれて。
声のする方へ視線を移すと、そこには悟を刺した男がいた。
そして...
肩にあなたを抱えていた。
意識がないようだ。
手持ちの呪霊の中でも高い等級のものを出して攻撃する。
相手も呪具の銃を撃って反撃してくるが呪霊で受ける。
そう言いながら、あなたを隅に降ろす。
呪霊をぶつけて、その呪霊が男を食らう。
が、
男は呪霊の体を切り裂いて出てきた。
手持ちの呪霊で最高硬度の虹龍だぞ!?
手持ちの仮想怨霊切り裂き女。質問に答えるまでお互いに不可侵を強制する簡易領域を展開する。
この間に...
ギギギ
無数のハサミが男を取り囲む。
しかし、男は全てのハサミを1つの武器で受け流す。
簡易領域が解けた瞬間、私は男の間合いに入った。
全ては男に巻きついている武器庫呪霊を取り込むため。
呪霊操術
降伏した呪霊を取り込み自在に操る術式。
階級換算で二級以上の差があれば降伏を省きほぼ無条件で取り込める。
能力は特殊だが、呪霊自体は強くない。取り込める!!
武器庫は押さえた。
あとは物量でゴリ押し...
バチィ
なっ...!ハジかれた!?
その瞬間、男に斬られた。
NOside
伏黒甚爾は倒れている夏油傑の頭を踏みつけながら語る。
スタスタと隅に寝かせておいた如月あなたの元へ行き、抱えあげる。
1人でケラケラと笑いながらせっせと如月あなたと天内理子を自身に巻き付けている呪霊の中へ入れる。
そして、その場を去った。
薨星宮に残ったのは、
瀕死の倒れた夏油傑と、星漿体の運命から望まぬ形で抜け出せた少女の痛々しい血痕だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!