五条side
ごめん天内。あなた。
俺は今オマエらのために怒ってない。
誰も憎んじゃいない。
今はただただこの世界が心地良い。
アイツからの猛攻が続くが、
ひらひらと躱す。
代々伝わる相伝の術式のメリットはあらかじめ先代の築いた術式の取説があること。
デメリットは術式の情報が漏れやすいこと。
アンタ御三家...
禪院家の人間だろ。「蒼」も「赫」も無下限呪術のことはよく知ってるわけだ。
だがコレは五条家の中でもごく一部の人間しか知らない。
順転と反転。
それぞれの無限を衝突させることで生成される仮想の質量を押し出す。
甚爾side
違和感
「タダ働きなんてゴメンだね。」
いつもの俺ならそう言ってトンズラこいた。
だが目の前には覚醒した無下限呪術の使い手。
おそらく現代最強と成った術師。
否定してみたくなった。
捩じ伏せてみたくなった。
俺を否定した禪院家、呪術界、その頂点を。
自分を肯定するためにいつもの自分を曲げちまった。
その時点で負けていた。
自分も他人も尊ぶことない。
そういう生き方を選んだんだろうが。
そう言った時。
頭によぎった子供。
傑side
硝子の治療を受け終え、悟が行ったと思われる盤星教の施設に来た。
扉を開けた先には、
理子ちゃんの遺体を抱えた悟と、
その周りで拍手をしている盤星教の教徒。
何があった...!?
明らかに異質なオーラを放っている。
力の入っていない理子ちゃんの垂れた腕を見る。
こちらを見る悟の瞳にはなんの感情もこもっていない。
そうして、盤星教の施設を後にした。
気になっていた、あなたの姿が見えないこと。
悟が口にしないので聞いた。
あなたの如月家での立ち位置も知っているし、あなたが、如月家にどんな想いを持っているのかも知っているので無事と受け取っていいのか分からない。
悟の妙な言い回しが気になるまま、高専についた。
その言葉通り、あなたは4日後に高専へ戻ってきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!