急いで家に帰りまず目に入ったのは、玄関でクラッカー片手に体育座りで眠るあなたの姿だった。
何故こうなったかと言えば、1時間ほど前、
仕事終わり、後輩に誘われ飲み会に行くことになった。
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あなた
今日
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寝てるのかなと思いつつスマホをカバンにしまって居酒屋に向かった。
後輩とふたりで飲んでいると、隣の席に見覚えのある人が見えた。
突然の質問攻めにびっくりしたが、宏ちゃんも拓也さんも、だんだん怖い顔になった。
いいから と言われ後輩に断り入れて急いで家に帰ってみれば、寝てるあなた。
全く起きる気配のないあなたを抱きあげて部屋に置いた後、リビングに入ると、机の上に料理とケーキ。
しかも俺の好物ばかり。
冷めた料理を少し取り分けて、温め直す。
さっきあんま食べれなかったから、お腹が空いていた。
そのおかげで、あっという間に温めた分の料理が皿から消えた。
ケーキと残りの料理は明日にしようと、ラップをかけて冷蔵庫にいれる。
歯を磨いて、部屋に戻った。
さっきはあなたを部屋に置いてくるついでに入り口に荷物を置いただけだったから気づかなかったけれど、
ベッドの枕元に、明らかなプレゼントボックスが置いてあった。
手紙も付いていて、綺麗な便箋に、あなたの可愛らしくて丸っこい字で書かれていた。
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壮馬兄さんへ。
兄さん!はっぴーばーすでー!
もう32歳、早いねぇ。
若くないんだから、体調に気をつけて仕事バリバリ頑張ってね。
応援してるよ!
兄さんのファン1号の妹より。
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若くない の部分にツッコミたくなるのを抑え、プレゼントの箱を開けてみる。
中身は黒の長財布。
右下に小さな刺繍が入った使い勝手の良さそうなもの。
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あなた
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そーまさんのお誕生日ということでね!
アナログとデジタルのそーまさんを1枚ね、
似ては、ない(え)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。