第11話

9話
42
2020/10/25 11:51
「……なんか、先生のまで開示?されたんだけど」

「さっきそんなこと言ってたからな。情報の開示を宣言さえすれば、どんな状況だろうと見ることが出来るんだよ」


 そして、言われるがままに情報の詳細を見ると、確かに金井さんと神屋坂さん、それから梅原先生の情報が載っていた。

 生年月日などの細かい部分は非公開だが、年齢や能力については詳しく見ることが出来た。こんな物があるとは知らず、感心していると、金井さんが悪戯っ子のような顔で耳打ちしてくる。


「実はな、それはスクードに勤務してる奴にしか配られないんだよ」

「えっ!?じゃあなんで俺に……」

「まぁ、とりあえずここを見てみろって」


 そう言って金井さんが指したのは、『フリーランス』の一覧。そこには梅原先生だけでなく、もう一人の情報が表示されていた。

 名前も年齢も載っていないが、能力についての詳細だけが載っている。これは、もしかして……


「さっきの殺し屋、ですか?」

「ご明察!多少は身を守ることに役立てればなって寸法だ」

「あの、すみません。情報表示の基準がよくわかんないんですけど……」


 あの殺し屋は開示する旨は言っていなかったはずだが、能力の情報はしっかりと表示されている。これは何かしらの基準があるということなのだろうか?


「あぁ、一度見たことがある能力については、自動で登録されるんだよ。逆に、能力の情報は目の当たりにするまで登録は出来ないんだ。ちょっとめんどうなシステムだよな」


 なるほど、と思って他の人の欄を見直すと、神屋坂さんのページに飛んだ。おかしいな、神屋坂さんの能力はまだ見たことがないけど、しっかりと表示されている。

 首を傾げていると、それを察したのか神屋坂さんが説明してくれる。


「俺の能力は常時発動型だ。今も発動してるぞ」

「えっ!?あ、道理で……」


 能力詳細から能力を知り、今までの影の薄さに納得がいく。影薄いですね、なんて口が裂けても言えないけれど。

 一通りの話が終わったのか、二人がカバンを持って立ち上がる。割と仲良く出来ていたつもりだったので、どこか寂しさを覚えた。

 しかし、二人は当たり前のようにこちらを振り返り、『ついてこい』とばかりの視線を送ってくる。

 意味が解らず立ちすくんでいると、金井さんがはっと気が付いたような表情になった。


「そうだ、まだ言ってなかったな!」

「え、あ、何がですか?」


 困惑している俺とは裏腹に、金井さんは快活に笑う。


「あなた君にはこれから、うちに住んでもらうことになった!」

「え、金井さんの家にですか!?」


 驚きのあまり大声を出してしまった。慌てて口を抑えながら金井さんを見ると、面白かったのかクスクスと笑っている。


「違う違う、もっと安全な所だよ」


 それだけ言って、詳しい説明も無しに部屋から出て行ってしまった。そんな金井さんの尻拭いをするように、神屋坂さんが言葉を継ぐ。


「全くアイツは……。俺たちの本部だよ」


 つまり、スクード本部と言うことだ。



「……本部ぅ!?」


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