第8話

6
2,817
2020/07/22 09:45
結局、あれから1年経った




あなたもずっと気まずそうにしてるし




お互い顔を合わせることもなかった
時透無一郎
時透無一郎
(あなた………)
ぼんやりと外を見る




すると、名前を呼ぶ声が聞こえた
男子生徒
男子生徒
時透帰らねぇの?
時透無一郎
時透無一郎
あ……
時透無一郎
時透無一郎
(もう4時……)
男子生徒
男子生徒
鍵閉めっから、早く出ろよー?
時透無一郎
時透無一郎
………うん
桜舞う春




僕も、今年から受験シーズンだ




外には、桜の木がある




桜の木には、最近行っない




もう、少し諦めた自分がいる




だって、あなたは目も合わせようとしなくなった




きっとあなたなら、すぐに恋人ができる




僕のことなんか、思い出しもしないだろう




過去は過去、今は今なんだから……




けど………
時透無一郎
時透無一郎
桜の木………見に行こうかな………
何となくそう思った




そう、何となくだ




何か理由がある訳でもない




何か期待している訳でもない




けど、心と体が同じ考えに行き着いた




だから、僕は向かう




遠い昔、君と約束した場所へ

プリ小説オーディオドラマ