第4話

2
3,196
2020/07/17 11:48
時透無一郎
時透無一郎
ふっ……う……ポロポロ
桜の木の下




僕は声を押し殺して泣いた




高校生にもなって、我ながら女々しいな




けど、あの約束は消えてしまったんだ




分かっているつもりだった



僕の中の時計は




あの日死んだ日から止まったままだったんだ
時透無一郎
時透無一郎
なん……で…………
華鶴(なまえ)
華鶴あなた
あの……時透くん………?
時透無一郎
時透無一郎
?!
華鶴(なまえ)
華鶴あなた
え……泣いてる?!
えっ大丈夫?!どこか痛いの?
何か嫌なことでもあった?
話聞くよ?あ、それともこういう時ってひとりになりたいんだっけ
テンパって早口でどうすればいいか考えるあなた




変わってないな




前のあなた花柱も、そんなだったから
時透無一郎
時透無一郎
ん……なんでもない
精一杯の笑顔を作る




あなたは、一瞬戸惑ったような表情を浮かべた




けど、すぐに消え去り




いつもの人懐っこいような




尻尾をブンブン振る子犬のような




そんな屈託のない笑顔に戻った
華鶴(なまえ)
華鶴あなた
それならよかった!
その笑顔に、また涙が零れそうになった

プリ小説オーディオドラマ