第9話

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2020/07/23 05:54
そこは、小さな空間だ




その中心に、たった1本の桜の木がある




"僕は君を一人にしない"




あの日、ここで約束したんだ
時透無一郎
時透無一郎
(もし……あの時の………)
時透無一郎
時透無一郎
(時を止められたなら……)
木に額を押し付けるように、願いを口にする
時透無一郎
時透無一郎
二度と……進まないで…………
華鶴(なまえ)
華鶴あなた
あっ………
時透無一郎
時透無一郎
あなたっ……?!
後ろを振り向くと、あなたがこちらを真っ直ぐ見つめていた




今は切り離された、遠くにいる君が




目の前にいる
華鶴(なまえ)
華鶴あなた
ごめんね、邪魔しちゃって
私行くね
時透無一郎
時透無一郎
ま………待って!!
思わず追いかけて、手首を掴む




また君が、消えてしまう気がした
時透無一郎
時透無一郎
(今の僕には……何が出来る………?)
伝えよう




何度も季節が変わるとしても




もう、諦めない




君が誰かのものになるくらいなら




今を、僕が壊してしまう方がマシだ




君が離れていっても




僕は、枯れる日まで想い続ける
時透無一郎
時透無一郎
(君に届くのなら……)
時透無一郎
時透無一郎
(明日の君にも響いて………)
時透無一郎
時透無一郎
ずっと、君の……そばにいたい
僕を風上




あなたを風下にして、風が吹く




僕の声は、風に乗せて




遥か彼方の君に届く────
時透無一郎
時透無一郎
(前世から引き継いだこの名前……)
時透無一郎
時透無一郎
(無一郎の無は………)
時透無一郎
時透無一郎
(唯一"無"二の存在を
"無"限に守り続ける。そして……)




















"無"限の刻を超えても、愛し続ける









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