第3話

協奏曲 第三番
77
2018/11/18 06:43



❲朝❳








藤宮 有栖
おーはよっ!
宇多 心音
へ!?
有栖が私の部屋のドアを開けて入ってきた。
宇多 心音
有栖、いつもドアはノック
してって言ってるじゃん…
藤宮 有栖
いいじゃん〜!
藤宮 有栖
せっかく迎えに来てやった
っていうのにさ!
有栖は、私の小さい頃からの友達。


私がピアノを弾けなくなったと聞いたときには、

まるで自分の事かのように泣いてくれた。
宇多 心音
(盲目でも学校に行けてるのは
有栖のおかげだしな…)

私達は学校へ向かった。





藤宮 有栖
でさ〜…
宇多 心音
まじでw
そんな他愛もない会話をしている時、私が

歩く場所に向かって車が来る音が聞こえた。
キキ~ィ‼
藤宮 有栖
心音…!!
宇多 心音
え…?
目は見えないが、おそらく猛スピードでこちらに

向かってきてるのであろう、車のブレーキをかける

音が聞こえてくる。


私が死を覚悟したその時、
宇多 心音
(あ、あれ…?)
私に車はぶつからなかった。
そして、どこからか声が聞こえてきた。
???
いや〜、危なかったね〜。
宇多 心音
だ、誰…!?
ルチア
私はルチア。
ルチア
世に言う魔法使いって
やつです!
宇多 心音
魔法使い…
宇多 心音
ていうか、車は?
止まってるの?
ルチア
ああ、車ね。
ルチア
私が止めといた。時間を
止めたって言うのかな。
時間を止める事が出来るなんて、ルチアは本当の

魔法使いなのかもしれない。
ルチアは続けて言った。
ルチア
君はここで死なせないよ。
宇多 心音
どういうこと…
ルチア
私は世界一優しい魔法使い
だからね!
宇多 心音
世界一って…
自分で言う…?
ルチアは私の言うことを全く無視して

話している。
ルチア
君は目が見えないんでしょ?
宇多 心音
うん。
ルチア
この私が治してしんぜよう!
宇多 心音
ほ、本当に治してくれるの!?
宇多 心音
医者にも無理だって
言われたのに…
ルチア
私を誰だと思っているの?
れっきとした魔法使いなん
だからね!
宇多 心音
う、うん…
宇多 心音
じゃあ、お願いするよ。
ルチア
任せなさい!
ルチアは自分の手を私の両目にあてた。
ルチア
ウィネラ・サウントゥール・
エピスキー・サルビオヘクシア!!

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