第5話

『5』
27
2018/10/18 10:26
    分かってほしいのに、分かってもらえなくて、最後には弱くなってしまいます。
期待するほど周りが怖くなって、心臓が張り裂けそうになります。
    助けて欲しくて周りに声をかけるのに、みんなはそれを見て見ぬふりをして、何も知らないような素振りで僕を見捨てました。
    いつか報われる。報われたい。
報われる為に毎日泣いて頑張っているのに、それすら目にも留めてくれませんでした。
    そんな僕に気づいて声をかけてくれた君を、僕は忘れません。
    君だけだったんです。僕を見てくれたのは。
ハンカチを渡してくれたり、手を取って一緒に歩いてくれたり、弱虫の僕をこんなにも支えてくれて、本当に嬉しかったです。
    仕方ないからやっていた。
    そんな理由でも構いません。拙い思いで愛してくれても、僕はそれだけでもう幸せです。
ちょっとした気遣いでもいいんです。僕は小さな世界でしか生きた事が無いから、それくらいの事でも嬉しいのです。
    助けてくれなかった人たちを、普通は恨んだりしますが、僕はもうそんな事はしないでおきます。
    そんな事に時間を使っても、勿体ないだけだから、いっその事まだ涼しい顔でやり過ごして、僕だけの時間を過ごそうと思います。
    周りの酷い言い分になんて左右されたくないのです。面倒臭い事なんてしたくないのです。そうやって、生きていたいのです。
    どうして人は、独りの人間に対して冷たい、情の無い事を言うのでしょう。
嫌いですか。憎いですか。
僕は何かしましたか。
    回りくどい言い方なんてしなくても、好きなように要望を言ってくれれば、僕だって治します。喧嘩なんてしたくありません。
    声を聴いてほしい。
耳を少し傾けるだけでいい。
    本当に我儘は言わないので、それだけでいいので聴いてほしいです。
    少し物語はなしを聴いてくれるだけで、気が楽になるんです。
    どうか、僕を少しでもいいので、もう少しの間だけ、愛して下さい。

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