分かってほしいのに、分かってもらえなくて、最後には弱くなってしまいます。
期待するほど周りが怖くなって、心臓が張り裂けそうになります。
助けて欲しくて周りに声をかけるのに、みんなはそれを見て見ぬふりをして、何も知らないような素振りで僕を見捨てました。
いつか報われる。報われたい。
報われる為に毎日泣いて頑張っているのに、それすら目にも留めてくれませんでした。
そんな僕に気づいて声をかけてくれた君を、僕は忘れません。
君だけだったんです。僕を見てくれたのは。
ハンカチを渡してくれたり、手を取って一緒に歩いてくれたり、弱虫の僕をこんなにも支えてくれて、本当に嬉しかったです。
仕方ないからやっていた。
そんな理由でも構いません。拙い思いで愛してくれても、僕はそれだけでもう幸せです。
ちょっとした気遣いでもいいんです。僕は小さな世界でしか生きた事が無いから、それくらいの事でも嬉しいのです。
助けてくれなかった人たちを、普通は恨んだりしますが、僕はもうそんな事はしないでおきます。
そんな事に時間を使っても、勿体ないだけだから、いっその事まだ涼しい顔でやり過ごして、僕だけの時間を過ごそうと思います。
周りの酷い言い分になんて左右されたくないのです。面倒臭い事なんてしたくないのです。そうやって、生きていたいのです。
どうして人は、独りの人間に対して冷たい、情の無い事を言うのでしょう。
嫌いですか。憎いですか。
僕は何かしましたか。
回りくどい言い方なんてしなくても、好きなように要望を言ってくれれば、僕だって治します。喧嘩なんてしたくありません。
声を聴いてほしい。
耳を少し傾けるだけでいい。
本当に我儘は言わないので、それだけでいいので聴いてほしいです。
少し物語を聴いてくれるだけで、気が楽になるんです。
どうか、僕を少しでもいいので、もう少しの間だけ、愛して下さい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。