第7話

ある女の子
490
2018/02/12 05:47



『踊ってみない?』



ジミン君の後に踊るのは、

プレッシャーが凄い。



《踊ってみなよ!俺も見たいし》

「上手く踊れませんよ…?」

『まぁみんなそんなもんだから』

「じゃあ踊ってみます」



そう言うと私は、

スマホの音楽アプリを開き、

“MIC Drop”という曲を流した。



踊っていると、

さっきの恥ずかしさや、緊張なんかなくなって、

周りの視線も、音も入ってこない

自分だけの世界に入ることが出来た。









『…凄いじゃん』


曲が終わった後、ジミン君はそうつぶやいた。

そして、近付いてきて、



『でも、もっとこうした方が綺麗に見える』

『ここを丁寧に…』



という風にして、

私の側で教えてくれた。


距離が近くて、本当に心臓が壊れそう。




あの時、もう恋をしないって思ったのに、

ジミン君のせいだよ。

こんなにドキドキする気持ちは。


そう、全部ジミン君のせい。







でもさ、こんな事されたら、

周りの女の子部員の目線が痛いな…


特に、あの子。

私がテヒョンくんと喋ってると、

やけにチラチラ見てくるし…怖い。


まあ、あの二人はそれだけ人気なんだろな。



















《よし!今日は終わろ!》



気付けばもう六時半で、

辺りは暗い。



〔ねぇ、テテくぅーん〕



甘ったるい声がした。



〔その女の子見てないで、ユナと一緒に帰ろっ!ユナ怖くて一人で帰れなぁい〕

《ちょっ、やめろって!》



あっ、この人。

私がテヒョンくんと喋ってると見てくる子。



〔何でぇ?ユナの事きらっ…〕

《嫌いだよ》

〔そんな事言わないでぇ。テテはツンデレだなぁ〕

《離れて》



テヒョンくんが呟いた。

その声は、

さっきまでのテヒョンくんの声じゃなくて

低く、怖い声だった。



〔んー、分かったよ。じゃあね!テテ!〕



ユナさんは元気にそう言って、帰った。









《ごめんね、あなたちゃん》

「えっあっ、いえ」

《ユナはああいう性格なんだ》

「そうなんですか」

《本当にごめんね。あのさ、お詫びじゃないけど、一緒に帰らない?》

「えっ?」

《この時間帯に女の子一人は危ないよ》

「でも、ユナさん断ってっ…」

《ユナはいいの。よし!帰ろ!》



とテヒョンくんは言って、

半ば強引に一緒に帰ることになった。

プリ小説オーディオドラマ