そして、その時は訪れた
天元様、無一郎様、行冥、私
晴天には高々と旗印が掲げられた
安土城は兵で賑わっていた
私はひとり、かるた札を眺めていた
甲冑を纏い、人を殺める私を
唯一、認めてくれた人だ
この戦で死んでも、私は地獄行きだろう
札を、親指の腹でそっとなぞった
懐にそれをしまい、歩き出す
ふと顔を上げると、城の欄干からこちらを眺める
カナエ様、しのぶ様、カナヲ様、そして蜜璃様
私は彼女たちに一礼をし、馬へ向かった
ギィ…
城門が開かれる
馬の手綱を振り、馬を走らせる
主に今回の陣形はこうだ
天元様は将軍をおびき寄せるため、最前線
無一郎様は天元様のお側に着く
私は主に後方支援
行冥は主に見張り
もしも行冥が敗れれば、私たちに戦火が及ぶ
だけど……
そう決意し、城門をくぐった
馬を走らせること数日
私たちは、京の本能寺に入った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。