第36話

悲劇の姫ルート︰其の弐
1,225
2021/02/15 11:16
蜜璃
蜜璃
兄上ー!
松宮(なまえ)
松宮あなた
天元様!お返事を!!
夜の安土城の焼け跡に、提灯の灯りが蠢く




どれだけ探してもいない………




既に脱出されたのか………




はたまた、共に焼けてしまったか………




真っ黒な木の柱が、僅かにちりちりと赤い




奥へ、奥へ進む




だが、髪一本、爪一欠片見つけられなかった



善逸の館────
我妻善逸
我妻善逸
二日間探し回ったが、とうとう見つからなかった
家臣
なんということだ………!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
一体……どちらへ………
冨岡義勇
冨岡義勇
天元様なら生きておられるだろうが…
時透無一郎
時透無一郎
誰も見てないの?
悲鳴嶼行冥
悲鳴嶼行冥
目撃の情報も、探りましたが………
松宮(なまえ)
松宮あなた
はぁ……どうなって……
家臣
やはり、あの火災の中………
家臣
黒幕がいると仰るか!?
家臣
誰がしたと申す!?
家臣
巷でよく聞くは………
松宮(なまえ)
松宮あなた
……なぜこちらを見るのです
家臣
いえ、ただ……
松宮あなたが、安土の城に火を放った………ここのところ、よく耳に致します
悲鳴嶼行冥
悲鳴嶼行冥
何を………!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
勝手なことを言うな!
たかが噂を、軍議の場で易々と口にするな!
家臣
…………何卒、ご容赦を
時透無一郎
時透無一郎
にしても……
火事に巻き込まれすぎでしょ…あの人
我妻善逸
我妻善逸
義勇、何か掴めたこと無い?
冨岡義勇
冨岡義勇
火元は、安土城の天主閣でした
悲鳴嶼行冥
悲鳴嶼行冥
天主閣………?
そこまで入ることが出来る人物は、これで絞られましたな
時透無一郎
時透無一郎
つまるところ、ここにいる全員が、火を放つのは容易だったってことだね
我妻善逸
我妻善逸
じゃあ……火災の際、みなはどこで何を
冨岡義勇
冨岡義勇
俺は、善逸様と屋敷にいました
我妻善逸
我妻善逸
うん、義勇は確かに俺といたよ
時透無一郎
時透無一郎
僕も……屋敷で文を書いてた
悲鳴嶼行冥
悲鳴嶼行冥
屋敷の書庫にいました。
戦術書を、家臣と読み漁っていました
松宮(なまえ)
松宮あなた
私は………炭治郎様と、蛍を見ていました
竈門炭治郎
竈門炭治郎
これは確かです。
俺が、蛍が綺麗だからと呼びました
家臣
なぜ、あの日に?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
たまたまですよ。
月も美しかったですから
家臣
お二人以外は屋敷にいたというのに……
奇妙な話ですな
悲鳴嶼行冥
悲鳴嶼行冥
貴様、口が過ぎるぞ。
あなた様を侮辱するとは……!
松宮(なまえ)
松宮あなた
行冥…
悲鳴嶼行冥
悲鳴嶼行冥
…………はっ
家臣
ですが、こんな話は聞いてはいませぬか
家臣
焼け跡から、
あなた様の扇子が見つかった……と
松宮(なまえ)
松宮あなた
は……!?
冨岡義勇
冨岡義勇
なっ……
時透無一郎
時透無一郎
…………
家臣
それが、こちらです
家臣
扇子は折れて、さらに焦げていますが………間違いありません
竈門炭治郎
竈門炭治郎
断じてない!!
あなたは火事の時、俺といた!!
家臣
炭治郎様があなた様を庇っておられるとは、言えない話ではありません
竈門炭治郎
竈門炭治郎
庇っているのではない!
俺は事実を言っているだけだ!!
家臣
なら焼け跡から見つかったこれはどうご説明される!?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
それはっ………
家臣
善逸様、あなた様を一度、
裁判にかけるべきかと
我妻善逸
我妻善逸
……俺は反対かな
家臣
何を!?
我妻善逸
我妻善逸
前々からあったものかもしれないでしょ、それって
家臣
それは……そうですが
家臣
あなた様には、十分な動悸と可能性があります!!

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