お久しぶりです、煉獄杏寿郎殿
ああ、久しぶりだな。
松宮あなた姫
姫………ですか
なんだ?不満か
………いいえ、ただ……
まだ姫要素が残っているのか……と
なるほど
俺の価値観では、戦場に立とうが家督を継ごうが、生まれ持ったものは変わらないものだと思っている
ありがとうございます
ところで、後ろの御二方は?
あなた様の重臣、悲鳴嶼行冥だ
噂に聞く、あの悲鳴嶼行冥か!
会えて光栄だ
………竈門炭治郎だ
……おや、宇髄天元の頭脳の…
竈門炭治郎か
………………
会えて嬉しいぞ竈門殿!
えっ!?
先日の戦の戦略、冨岡義勇殿と竈門殿が練られたと情報を得た!
俺たちは危うく退路を無くすところだった!
は…はあ………
あの策略を練った者と、一度腰を据えて話したいと思っていたが、こんなにすぐに叶うとは思いもしなかった!
ところで……わざわざ私を呼んだ理由はなんですか?
ん?特に無いな
は!?
先程も言った通り、俺は"冥土の使い姫"と呼ばれた、"松宮あなた"としての君と話しをしたいと思っただけだ
それだけの理由で……わざわざ………
それも重要な事だ
(………拍子抜け……)
ただ、竈門殿
?
君には何の恨みもない。
むしろ尊敬の念すらある
だが、俺は宇髄相手に手を抜くつもりは微塵も無い
…………承知の上です、煉獄殿
俺も、あなたには毎回恐れ入っております
"甲斐の虎"の二つ名を持ち、あの天元様も良しと思わせぬ御人はなかなかいない
確かに、そうですね。
天元様の手を焼かすとは……さすが甲斐の虎というもの
そのように評価してくれるとは有難い
杏寿郎様……そろそろ
そうか……名残惜しいが、俺は甲斐国へ帰るとしよう
偵察隊に見つからないといいですね
はっはっ!
敵を心配するとは、やはり君は、心優しい姫君だな
嫁入り前の女性にあまり言うべきではないぞ
そうかそうか!ではな!
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!