第76話

乱世の姫ルート︰其の拾玖
944
2021/06/13 03:06
そして、二日後の明け方




ついに、時は来た




こくりこくりとうたた寝をしていた




ドーン!




大きな音で目が覚めた




鉄砲か………!
松宮(なまえ)
松宮あなた
弓隊!構えろ!!
屋根の上に控えていた弓を持った兵が構える




僅かに見える陽の元、ギリギリと弓を引く
松宮(なまえ)
松宮あなた
放て!!
シュバッ!バシュッ!




敵兵に次々と刺さる




本能寺の僧や女性は、予め避難させてある




二度もいい迷惑だと思う




だが、余計なことを考えてはならない




なぜなら、その瞬間に死ぬから
松宮(なまえ)
松宮あなた
天元様は!?
家臣
奥で無一郎様と!
松宮(なまえ)
松宮あなた
よし……必ず守り抜け!
家臣
ははっ!
明け方の空に見えるは、将軍家の旗




そして、水色の桔梗も見える




煉獄の赤備えも、不死川の毘の文字も
松宮(なまえ)
松宮あなた
……意味不明……川中島であれだけ戦っておいて…………しかも本当に生き返ってくるとか
シュバッ!




すぐ近くに、敵方の矢が刺さった




グダグダしてる暇はない
松宮(なまえ)
松宮あなた
我々も行冥の軍に参戦する!
この本能寺は囲まれている!何とか道を開いて見せろ!!
家臣
おおー!!
松宮(なまえ)
松宮あなた
進め!!
私のその一声で、戦線は激化する




鉄砲の音は、止むことなく響き渡る




三段構えか……あるいはかなり離れたところから




どちらにしろ、殺しに来ているのは一目瞭然だ
童磨
童磨
ようやく会えたね、冥土の使い姫
松宮(なまえ)
松宮あなた
……公方様………いえ……童磨…
童磨
童磨
その顔……やっぱり………
見覚えがあるねぇ、京の舞台で
松宮(なまえ)
松宮あなた
今すぐ兵を撤退して
童磨
童磨
どうして?
松宮(なまえ)
松宮あなた
どうしてって……あなたが兵を退ければ、余計な死者が出ないでしょう
童磨
童磨
君たちが降伏すれば済むことじゃない?俺たちは、魔王の討伐に来ただけなんだ
童磨
童磨
君だって……あの魔王にされた仕打ちを覚えているよね?家族と引き離されたよね
童磨
童磨
俺はそんな君を見て、胸が締め付けられた………可哀想に…救ってあげないとって思ったんだ
童磨
童磨
だから、道を開けておくれよ
松宮(なまえ)
松宮あなた
お断りします
松宮(なまえ)
松宮あなた
まともに政治を行おうともしない将軍は将軍に非ず……ですよ?
童磨
童磨
ほんと………意地悪な子だね
松宮(なまえ)
松宮あなた
お覚悟を!!
ガン!キン!!




公方様を囲い込む




だけど……手応えがない




おかしい………敵兵がこちらに来ない
竈門炭治郎
竈門炭治郎
っ……公方様!
松宮(なまえ)
松宮あなた
っ!?
童磨
童磨
炭治郎!もう遅いよ!
松宮(なまえ)
松宮あなた
た…炭治郎…様……
竈門炭治郎
竈門炭治郎
…………………
竈門炭治郎
竈門炭治郎
あなた、そこをどいてくれ
松宮(なまえ)
松宮あなた
なぜ……
竈門炭治郎
竈門炭治郎
……気づいたからだよ。
天元様……宇髄天元は間違ってる
竈門炭治郎
竈門炭治郎
力でねじ伏せるのは、やっぱり良くない
松宮(なまえ)
松宮あなた
そうっ……ですけど………
竈門炭治郎
竈門炭治郎
そんなに震えて……怖いよな
竈門炭治郎
竈門炭治郎
宇随軍はもう、壊滅状態だ
松宮(なまえ)
松宮あなた
なっ………じゃあ……兵が集まってこないのは……!
童磨
童磨
他の宇随軍を倒しに行ってくれてたんだよね
松宮(なまえ)
松宮あなた
煉獄も……不死川も……いない………!
童磨
童磨
ああ、その絶望……苦しいよね、辛いよね?
童磨
童磨
だから、俺が今から解き放ってあげるよ。君の家来と同じところに連れて行ってあげよう
竈門炭治郎
竈門炭治郎
公方様、俺にやらせてください
その言葉に、愕然とした




絶望と恐怖が、一気に押し寄せてきた




力が抜け、崩れ落ちた




私はただ、震えながら2人を見上げるしかできない




炭治郎様が抜刀する




そして、刃先を私の首に近づけた




ひんやりとした感覚………冷めた視線……




あなたは………誰なの……
竈門炭治郎
竈門炭治郎
……俺はやっぱり、あなたを好きになれなかった
竈門炭治郎
竈門炭治郎
せめて一思いに、冥土の国へ送って差し上げます

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