第2話

2通目
77
2018/03/20 13:05
翌朝看護師さんに起こされると同時、看護師さんから手紙をもらった。
昨日と同じ封筒なのを見ると、昨日の手紙の差出人と同じ人が書いたということだ。
あなた

………

あなた様、お元気ですか。
記憶喪失だとお聞きしました。
僕のせいでごめんなさい。
退院したら渡したいものがあるのでこの手紙はとっておいてもらえませんか。
退院したら手紙ください。
僕の住所は裏面に書いておきます。
丁寧な人だと思った。
手紙で丁寧な言葉を使うのは当たり前なのだが、記憶を失った一被害者の体を気遣うあたりまめな性格の人かもしれない。
あなた

………

少し微笑むとあなたはその手紙をベッドの横にある棚の引き出しにしまった。
あなた

…………

しかし病院生活は初めてで、誰かが見舞いに来たり本や絵を描くものがなかったりするとあまりにも暇なことに気がついた。
かといって同室の患者と馴れ合う気もない。
あなた

……つかぬことをお聞きしてもよろしいでしょうか先生。
私は全治何ヶ月でしょうか

医師
特に外傷がないので明明後日頃には
あなた

………わかりました、ありがとうございます

少し気分が向上した。
この超お暇な生活も明明後日で終わる。
その日は少しスキップで病室に戻った。
あなた

…………明明後日、か

この日の夜は眠れなかった。
明明後日で退院出来る。
気分は鳥籠から解き放たれる時の鳥のようだった。
あなた

……会えたらいいな

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