第13話

《信じる。》
53
2018/06/30 07:09
私達は産まれたときからずっと一緒だった


物心ついた時にはずっと


そばになぎくんがいた


一緒に遊んだり


喋ったり


笑いあったり……


毎日が楽しかった

かずね(昔)
かずね(昔)
なーぎーくん!
なぎと(昔)
なぎと(昔)
どーしたの?
かずね(昔)
かずね(昔)
あーそぼ!
なぎと(昔)
なぎと(昔)
いいよ
なぎくんは


隣の家に住むお金持ちの子


製薬会社の社長の息子


いわゆる御曹司というやつだ


頭がよくて


静かで


クールで


ちょっと暗い子っていうのが


最初のイメージ


実際話したり遊んだりしてみると


これまたビックリ!


イメージと何も変わってない


静かで


頭がよくて


大人っぽくて


クールで


ちょっと暗い


でも見た目だけじゃ気づかなかったことも


気づくことができた


例えば


暗くてあんまり自分から喋ったりしないのに


思ったこととか自分の素直な気持ちを


そのまま私に言ってくれた



それに


すごく優しかった


私はそんななぎくんに


少しずつだけど好意を寄せていた




そんなある日


すごくイキナリだった
かずね(昔)
かずね(昔)
なぎくーん!見て!ヒマワリ🌻綺麗だね〜
なぎと(昔)
なぎと(昔)
そーだね…かずねみたいだよ
かずね(昔)
かずね(昔)
え?/////
なぎと(昔)
なぎと(昔)
かずねの笑顔は僕を元気づけてくれる。そんなかずねが僕は好きだよ。
かずね(昔)
かずね(昔)
ぁ……ありがとう///私も……好きだよ!なぎくんのこと
なぎと(昔)
なぎと(昔)
ありがとう!(*^^*)
かずね……大きくなってもその気持ち変わらない?
かずね(昔)
かずね(昔)
うん!変わらないよ
なぎと(昔)
なぎと(昔)
嬉しい…
それから


なぎくんは学校に来なくなった


表札もあるし


車もある


引越しはしていない


インターホンを鳴らしても


凪叶はいない。


遊びに行っている。


そればかり


それである日学校で職員室に


プリントを届けた時


なぎくんのお母さんが先生と話していた


「なぎと君……本当によろしいんですね?お母さん。」
「はい…凪叶には、しっかり勉強してもらわないといけませんから。」
「そうですか…なぎと君にあちらでも頑張るように言っておいてください」
「はい。勿論です。先生。ありがとうございました」
かずね(昔)
かずね(昔)
何の話だろう?
あ!なぎくんのお母さん帰っちゃう!


このプリントを早く渡しに行こうとしたその時
先生1
でも、やっぱり凄いね!
先生2
さすが、製薬会社の御曹司だよね
先生1
自分は、子供の頃“留学”なんて考えたこともなかったのにね〜
先生2
僕もですよ〜
かずね(昔)
かずね(昔)
リュウ……ガク?
リュウガクって何?


先生!


先生!


今手元にプリントがあったので


それを渡しに来たと言って


話しかけることにした。


必死に今の気持ちを抑えて
かずね(昔)
かずね(昔)
先生~!プリント届けに来ました~
先生2
おぉ。ありがとう。華山さん
かずね(昔)
かずね(昔)
リュウガクってなんなの?
先生2
え?どーしたの?
かずね(昔)
かずね(昔)
ぇ……さっき本で読んだの
苦しい嘘だ……
先生2
そーか…
えっと…留学ってのはな。
勉強をするために外国に一定期間お引越しすることだよ?
かずね(昔)
かずね(昔)
ぇ……な……ぎ……くん?
先生2
どーした?
かずね(昔)
かずね(昔)
ううん!なんでもないの!教えてくれてありがとう先生!じゃぁさようなら!
先生2
気をつけて帰れよ!
どーして?


なぎくん……


どーして


何も言ってくれなかったの?


何も聞いてないよ?私……


嫌いになっちゃったの?


気がつけば涙が出ていた


止まらなかった


走ってなぎくんの家に行った


いつものようにインターホンを鳴らした


息を切らした声で
かずね(昔)
かずね(昔)
なぎくんはいますか?
なぎくんママ
いないわ
かずね(昔)
かずね(昔)
なぎくんリュウガクするんですか?
なぎくんママ
ごめんね。和音ちゃん。ママね。ちょっと忙しいの。
そう言われると同時に通話は途切れた


嫌いになっちゃったの?


家に入った


お母さんはいない


自分の部屋に入り


ランドセルを投げ捨て


窓を開けて
かずね(昔)
かずね(昔)
なーぎーくん!なーぎーくん!
涙で今にも消えそうな声で呼んだ


叫んだ


届くかわからなかったけど言ってみた


届くと信じていたから
かずね(昔)
かずね(昔)
なぎくん……夜の9時ここのドアを開けて小さくてもいい。私の名前を呼んで?そして、全部話して?
そう言って私は窓を閉めた

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