それから,今日起きたことは何も深く考えないようにしていた。
信じられなくなるに違いないから…
午後からの授業は特に何事もなく進んだ
あっという間に放課後
屋上行かなくちゃ!
私とハルの間には
いつの間にか壁ができてしまった
それは多分
内向的な私と社交的なハルだからだろう
私はクラスの男子も女子も苦手というか
嫌いだから話すつもりも仲良くするつもりも
さらさらない
それに対してハルは
ちょっとでもクラスの人達と
馴染みたいって思ってる
真逆の考えだから仕方がないな
なぎくん知ったら怒るだろうな
なんかついこの前まで喋ってた気がするのにな
少し寂しいな
予想外な質問
ズイズイと押してくる
(本日3度目)
これまでと話のスケールが違いすぎる!
無理に決まってる
私のことを説得しようと頑張っているのは
目に見えてわかる
ツムギちゃんが土下座をはじめた
お願いします!と言いながら
でも、陰で生きてきた私にとって
光の世界へ出るための道なんかもう
とうに閉ざされている
もえちゃんがド直球で聞いてきた
ないに決まってる
あるわけがない
ここまで言われても私の意見は変わらなかった
もえちゃんは携帯をいじりはじめる
ツムギちゃんはそれに対して💢
原因は私だ
でもどうにかしないと!とか
気が変わった!とか
そういうのは全然なかった
ただひたすらに胸の中がモヤモヤしていた
そう言っていつも1人の通学路を
初めて女子の友達と歩いている
それでも今は嬉しくなかった
嬉しかったのは嬉しかったのだと思う
でも、素直に喜べなかった
ツムギちゃんが悪いとか
もえちゃんが悪いとか
そういうのではない
空気を読むことができなくて
周りを険悪な空気にしてしまった
そんな自分に腹が立つ
話しかけられた時正直嬉しかった
胸が高鳴った
でも今は
1人が1番私に似合う
そういう風に思ってしまう
ネガティブな私も
空気を読まない私も
馬鹿な私も
話し下手な私も
全部全部大っ嫌いだ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。