第10話

Hook
25,095
2021/12/04 14:13





呆然とするテヒョンに不敵な笑みを浮かべながら、彼は近づいてくる。




え ...何、こわ.... こっち来る




身の危険を感じたテヒョンは無意識に立ち上がると後退りをしていた。





ジョングク
ジョングク
     あれ     
ジョングク
ジョングク
     どこに行くんですか ?     
ジョングク
ジョングク
     まだ大事なものは返してないのに     





彼の手が遠慮なしに伸びてきて、テヒョンの怯えた顔を妖しく撫でていく。






テヒョン
テヒョン
    な、に ..     !     
テヒョン
テヒョン
     ぁ、ちょっと     
ジョングク
ジョングク
     ん ー? 何がですか     
テヒョン
テヒョン
     っ、!やめて、ください!     





旦那ではない男に触られた事に驚いたテヒョンは、思わずその手を叩き落としていた。





なに、これ ...やだ .. 何で、触られて





接触した時爪が当たってしまったのか、彼の手の甲には小さな引っ掻き傷がついてしまっている。




その男は傷口を見るとニヤリと笑い、そこに滲む血をテヒョンに見せつけるようにして舐めとった。




テヒョン
テヒョン
     ひっ .....     





赤い舌の妖しい蠢きは、自ずと淫らな行為を連想させる。





テヒョン
テヒョン
    お、俺もう .. か、帰ります ....     
テヒョン
テヒョン
     ....さよ、ぅなら     





テヒョンは顔を真っ赤にすると、踵を返し急いで玄関へと向かった。




これ以上ここに居てはいけない。




頭の中ではひっきりなしに警報が鳴っている。




テヒョン
テヒョン
    っ、早く ... 早くしないと     





デザインが統一された玄関で、自分の靴を探す瞳孔が震える。




しかし靴を履く一歩手前の所で後ろから捕らえられると、壁に強く押し付けられてしまった。





テヒョン
テヒョン
     い、いやぁ !!     
テヒョン
テヒョン
     やめ、やめてください !!     
テヒョン
テヒョン
    た、助けてぇ ... 誰か     
ジョングク
ジョングク
  はは 、俺の家なんだから俺しかいないですよ     
ジョングク
ジョングク
     やっと捕まえた     
テヒョン
テヒョン
    だ、だめぇ ...     





背中には壁、目の前は彼に行く手を遮られ、逃場を失ったテヒョンは動転してついに暴れだす。






テヒョン
テヒョン
    もう、 何のつもりですか !?     
テヒョン
テヒョン
    っ、や...離してください !     





身をよじって必死に抵抗するが、華奢なテヒョンの身体は簡単に捩じ伏せられてしまう。










ジョングク
ジョングク
     帰る ? 冗談じゃない   
ジョングク
ジョングク
あんなもん見せられて 、大人しく帰れるとでも思いました?









︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎















ジョングク
ジョングク
     舐めてんじゃねぇよ     





彼の口から初めて聞いた、尖った荒い口調



テヒョン
テヒョン
     なっっ !     
ジョングク
ジョングク
このまま帰ったら、お宅の変わった趣味が団地中に広まる事になっちゃいますね
ジョングク
ジョングク
   旦那さんにも迷惑かかっちゃいますよ     
ジョングク
ジョングク
     あは 、泣きそうなの ?.... かわい     





そう酷薄な笑みを浮かべた彼が、テヒョンの耳元でそっと囁やいてきた。











続く




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