「悟!!悟!!起きて!!」
「ん、ああ、よく寝......ん!?」
なんで縛られてるんだ?
こうなった経緯を説明しよう
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
それはおそらく昨日のことだった。
有紗を町に連れていった時の事。
「悟、隠れて!!」
と有紗は電柱に隠れ、何かを見る。
「あのおじさん、明美ちゃんのお父さんだ。」
前方約10メートルを歩く男は有紗の友人の父親らしい。となれば隣を歩いている女はその妻だろうか。それにしては少し若すぎる気がするが......
「あの女の人誰だろう......。明美ちゃんのお母さんじゃない。」
それはつまり浮気ということだろうか。
そんな訳で尾行をすることになった。
こんな幼女を浮気調査させるのは如何なものかと思うが、見た目は幼女でも精神は中学生。頭脳は大人。まあ名探偵コ○ンみたいな幼女であると今更気が付く。
「あっ、悟、右に曲がっちゃった。気を付けて、尾行で1番危ないのは警察と曲がり角だから。」
「お、おう......」
そういうものだろうか。
ともあれ、警察は大丈夫だ。子供を連れた大人は怪しまれないとよく言う。それが全身黒ずくめの男でなければだが........
「ちょっと君、いいかい?」
「ひやあっ」
思わず最強に有るまじき悲鳴をあげてしまう。
「さっきから隠れてコソコソ何をしている?あの幼女は一体君のなんだ?もしかして、ゆ___」
「悟!!何してるの?早くしないと置いていかれちゃうよ?」
「む、き、君は......もしかしてッ、如月瑞穂の娘!?」
「ママのこと知ってるのー?」
「ああ、もちろんさ。なんせ彼女は世界を股にかける名探偵だからね」
そうなの!?
母を知っていると言われ、有紗は嬉しそうだ。
「それじゃあ失礼するよ。悪かった」
「あ、いえ、どうも」
「悟!!ほら、凄く遠くに行っちゃった。走るよ!」
この場合の走るとは有紗が走るのではなく、五条が有紗をかかえて走るということ。
「わあっ、悟、早すぎるよ!」
ミサイルキックをかますとはいえ所詮幼女。羽のように軽い為、尾行相手を追い越すことなど造作もない。
「あ?ごめんごめん。ほら、俺、足長いから。歩いてても追い越せちゃうんだよね。」
有紗はむうっと頬を膨らませ、五条の胸をバシバシ叩く。
「あっ、トイレに入った!!2人で!!」
「こ、これは......最低でも2時間はでて来ないな。」
俺のラブホ理論ではそうだ
「悟ー。なんで2時間なの?」
「子供は知らなくていいの!」
「ふうん、あっ、女の人の方出てきた!」
「早くねえか?」
お、俺のラブホ理論は?
「んー、おじさんの方が出てこないね。見てみようか」
「あっ、おい待て!」
オッサンの息子は幼女が見るべきじゃねえだろ!!
飛び出した有紗につられ、俺も追いかける。
「あっ、鍵開いてるよ〜」
「おい、有紗待て!!」
お前みたいな美幼女に下半身見られたらオッサンは誰だって泣くぞ!
「__ _」
「__ _」
有紗は扉を開け、絶句する。男女共用のトイレの中で、明美の父親は下半身丸出しで死んでいたのだ。
「きゃああああああ」
有紗の頭脳が大人でも、精神は中学生。二つの意味で彼女は悲鳴をあげた。
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こんにちは(?)Spica✩.*˚です。
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美老女
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美幼女
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。