話す言葉は同じなのに、
同じ時間を生きてるのに、
海を一つ挟むだけで
こんなにも遠く感じるなんて
思っても無かった。
隣に居ることが
余計に寂しさを際立たせる。
もっと遠くに居れば
諦めがつくのに、
しょうがない。って割り切れるのに。
少し手を伸ばせば
届きそうなその距離が
今は心臓を抉るように痛い。
会いたい
の電話もメールも
君にとっては負担になるでしょ?
だからグッと堪える。
今日は貴方の彼女になって
7回一年を一周した日。
きっとまた会えると
言い聞かせて、
終電を逃した私は
1人オフィスを出る。
嘘の世界に
迷い込んだのかと
何度か瞬きをする。
それでも数メートル先に
世界で1番会いたかった人が
居ることに変わらず、
頬を伝う涙が止まらなくなる。
差し出された手に
指を重ねると
そのまま引っ張られ、
彼の胸の中に。
直接触れてやっと
実感が沸いて、
収まりかけた涙も
勢いを増す。
ほんの数分で
いつもの距離を取り戻した。
でもまた海を渡って行くと思うと
今この瞬間が、
出来るだけ長く続けばと
叶うはずもないのに、
強く願ってしまう私は
貴方を心から欲していた。
fin.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。