転校生としての自己紹介が終わり、俺はころちゃんの後ろの席に案内された。喋れる人と同じクラスになれただけで幸運ではあったが、さらにころちゃんの後ろの席になれたのはさすがに最高すぎる。
初日でありながら、もうこんなにもたくさんの友達ができてそろそろにやけそうだった。
俺が椅子に座れば、ころちゃんが真っ先に後ろを見て満面の笑みで「なーくんん!!」と小声で言った。俺は嬉しくて「ころちゃ〜ん!!」と言いながら足を軽くばたばたとふった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
今日はお昼前に学校が終わり、早々と帰る人もいれば新しく出来た友達とかたまって喋る人もいた。もちろん俺も。
さっきからころちゃんと2人で椅子に座りながらお喋りをしていた。
こ「まさかなーくんが俺の後ろだとはね!!」
な「俺びっくりしちゃったよ〜笑」
こ「僕も〜!!笑」
な「そういえば、さとみくんはどこの席になったの?」
こ「さとみは僕たちとめちゃくちゃ離れてる外側の方の席だね。」
な「そっかぁ〜」
こ「あ、そうだなーくん」
な「なに?」
おずおずとするころちゃんを見て俺はころちゃんの次の言葉を待つ。
こ「あの、」
俺の瞳を見つめながら少し火照った頬を俺に向けた
こ「今日、俺んちこない?」
な「え、いいの!!??!」
意外な言葉がころちゃんの口からでて俺はうわずった声をあげ、ころちゃんの方を見た。
こ「もちろん!!なーくんともっと仲良くなりたいなぁって思って」
もっと仲良くなりたい
その言葉が真っ直ぐで、俺に対してそんなことを思っていてくれたのかと思うと体中が熱くなり涙がでそうだった。
めちゃくちゃ不安だったから、友達できるかって、遊べるような仲の友達ができるかって、ずっとずっと不安で泣きそうだったから
な「俺ももっところちゃんと仲良くなりたい!!」
こ「ほ、本当に!?」
な「うん!」
こ「じゃあ、今からなんだけど行ける?」
な「もっちろん!!」
俺たちは急いで椅子をなおし、2人で並んで教室をでた。
さ「あれ、2人とも帰んの」
こ「いや、今から遊ぶ」
隣の教室からでてきたさとみくん。
多分他クラスの人と遊んでいたのだろう。スラッとした体型のさとみくん。モデルさんやってそうなくらいスタイル抜群のさとみくんはきっとモテるんだろうなぁと思いながらチラチラと見ていた。
さ「へ〜」
こ「さとみくんも来れば」
さ「おーまじ、なーくんいいかな?」
なぜかこちらにOKをもらおうとするさとみくん。なぜ俺に聞くんだろうと思いながら
な「もちろんいいよ」
と、答えた
さとみくんは少しの間俺の方をじっとみて目を逸らした。「俺着替えてから行くわ〜」と言って自分のクラスに戻って行った。
こ「じゃあ、なーくん行こ」
な「そうだね」
再び並んで歩きながら喋りはじめた。
喋るといっても、まだそんなに仲がいい訳では無いので少し気まずい空気がながれることもあった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
なんだかんだいってころちゃんの家についた俺はあまりの大きな家に圧倒された。
こ「入って入って!!」
な「お、お邪魔しま〜す」
中もキラキラと輝く程に綺麗でつい脳内で俺の家と比べてしまった。
な「ころちゃん家って大きいんだね」
こ「そう?ありがとう」
ころちゃんのお部屋も広くてもうどこに座っていいのやらであたふたしているところちゃんが床をパンパンと叩いた。
こ「ここに座って、一緒にゲームしよ」
と言ってくれた。
ころちゃんの隣に座れば、目の前には大量のゲーム機がはいっていた。
な「すご、こんなにあるんだ…!!」
こ「俺ゲーム好きなんだよね、なーくんはよくやるの?」
な「あんまやんないかなぁ」
こ「ホラーゲームとかは?」
な「俺怖いの苦手〜笑」
こ「え゙」
唐突にこれはまずいといったかのような顔を俺に向けるころちゃん。
すると目の前にあったテレビゲームの画面が真っ暗になり重々しい音がなった。
こ「ほ、ホラーゲー、い、け、る?」
な「い、いけ〜、る?」
画面に恐ろしい顔のようなものが写り俺はとっさにころちゃんの顔を見た。「な、なーくんw」笑いながらころちゃんは俺に目を合わせてくれた。
や、やばい。怖すぎる。俺、普段ホラーゲームとかしないから、怖すぎるから、しかもさっき一瞬映ったあの顔、怖すぎでしょ〜!??なに、どこ見てんの!?おれ!?もしかして俺!?俺今日死んじゃうとかある!?
でもここで断ったらめっちゃ申し訳ない。初めて一緒に遊ぶ人なのに無理させるわけにもいかない。
な「大丈夫!!いこう!!」
こ「なーくん、い、言ったからね??」
不安げな表情でころちゃんはスタートボタンを押した。
《続く》
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。