目が覚めるとそこは保健室。
静かだ。
ベットから降り、カーテンを開ける。
先輩も、先生も誰もいない、私だけだった。
ふと、今朝の事を思いだす。
好きな人に助けてもらった。
好きな人におんぶしてもらった。
好きな人の匂いを嗅げた。
自然と笑みがこぼれてしまう…。
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昼休み、食堂で先輩を見つけた。
友達 「 亜煌〜、こっちこっち!! 腹減ったから早く〜 」
タイミング悪く、先輩の友達と声が重なる。
私はその場から離れ、遠くのテーブルに移動する。
先輩は不思議そうに振り返ってキョロキョロしていたけど、すぐ友達の方に行ってしまった。
運が悪かった。それだけ。
次の機会を見計らおう。
“ とりあえず撤退 ” “ 慎重に偵察 ”
先輩が買ったのは親子丼。
私も今度から親子丼を頼もうかな、なんて…
口いっぱいにご飯を食べるところ。
友達と会話して、くしゃと笑う横顔。
好きです…。
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パッ…と、目があったような気がした。
でも、一瞬。
“ 視線気づいてる? ” “ 気づいてる? ”
私の後ろにある時計を見たのかもしれない。
私の周りに先輩と仲のいい人がいるのかもしれない。
それとも…、、? 期待しちゃうじゃん。
先輩はすぐ友達の方へと顔を戻す。
“ まだバレてないか ”
もう時間が来たのか先輩は友達と食堂から去って行く
また、先輩の視線が私に向いてくれないかな…。
早くお礼、言いたいな…。
“ 少しだけ待ってて ” “ 待ってて ”
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。