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第2話

私の家にやって来た優希。


目的はもちろん、私が作るトリュフを食べるためだ。
私がキッチンで調理をしている間、優希はリビングで問題集とにらめっこしている。


高校受験の日まであと少し。最後の追い込みなのだろう。
実恋
実恋
完成したよー!
お皿に盛りつけたトリュフを見るや否や、優希は顔をしかめた。
優希
優希
…うわぁ…まずそう…。
実恋
実恋
文句言うなら食べないでよね…!
優希
優希
いやっ…お、おいしそう…です…。
慌てて言い直す優希に、少し笑ってしまった。



それにしても…我ながら酷い出来。


形が完全に崩れている。これはトリュフと呼べるのだろうか?お世辞にも、美味しそうだとは思えない。
実恋
実恋
(これでも、頑張って作ったんだけどなぁ…。)
…仕方ない。今回は失敗だ。


そもそも料理が苦手な私がトリュフ作りに挑戦するなんて、無謀だったのかもしれない。



そう思ったその時……。
優希
優希
ごちそうさま。
目の前に差し出されたのは、空になったお皿だった。
実恋
実恋
うそ…全部食べてくれたの…?
優希
優希
うん。見た目は悪いけど、味はそこまで悪くなかったし。
まさか完食してくれるなんて思っていなかったから、嬉しかった。
実恋
実恋
優希…意外と優しいとこあるんだね。
優希
優希
だって実恋が俺のために作ってくれたの、初めてじゃん…。
実恋
実恋
えっと…そう…だっけ…?
優希
優希
そうだよ。すげー嬉しかった…。
そう言った優希の頬が、心なしか少し赤くなった気がした。


こんなこと、いつもの優希なら言わない。


何だか…調子狂っちゃう。


妙に照れ臭くなって、私はそっと俯いた。



少しの沈黙の後で、私が先に口を開いた。
実恋
実恋
あ、明日はもっと美味しく作るから覚悟しててよね…っ!
優希
優希
言ったな?
優希
優希
それは楽しみだわ。
“いつもの私達”らしい、冗談混じりの会話。


だけどなぜか、私は優希の目を見ることができないままだったーーー…。
*


翌日から私は、トリュフ作りに、より力を入れるようになった。


日々料理の腕が上がっていき、見た目も味も上達していった。


優希にトリュフを食べてもらうようになって、1週間が過ぎたある日のことーーー。
光希
光希
実恋ちゃん、久しぶり。
実恋
実恋
光希くん…!
校内で、ばったり会った光希くんに声をかけられた。
実恋
実恋
A大学、受かったって聞いたよ。
流石だね。おめでとう!
光希
光希
ありがとう。
彼女ができたと聞いてから、話をするのは初めてだった。


この前、人生初の失恋を経験した私。


だけど光希くんに会ってみて、思ったよりも失恋を引きずっていないことに気がついた。


普通に目を見て、会話をすることだってできた。


もっと落ち込んでしまうかと思っていたのに、どうしてだろう。


自分でもよくわからなかった。
光希
光希
そういえば最近、優希と仲良いんだね。
光希くんの言葉に、なぜか少しドキッとした。
実恋
実恋
そ…そうかな…!?
実恋
実恋
最近、トリュフ作りの練習に付き合ってくれてるんだ…。
光希
光希
そうなんだ。
もうすぐバレンタインデーだもんね。
光希
光希
俺も、実恋ちゃんの手作りチョコ…食べてみたいな。
えっ……
何でそんなこと言うの……?
光希くんには彼女がいるのに……。
実恋
実恋
そんなこと言ったら彼女さん、嫉妬しちゃうんじゃないかな…?
光希
光希
彼女って、何のこと?
実恋
実恋
え…っ?
だって優希言ってたよ?
光希くんに彼女ができたって…
光希
光希
あいつ…何でそんなこと…。
光希
光希
俺、彼女いないよ。
昔から好きな子なら………いるけど。
実恋
実恋
え……

優希は、嘘をついていた。



どうして………?



私はそれ以上、何も言うことができなかった。