無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

前の話
一覧へ
次の話

第1話

今日は2月1日。ーーーバレンタインデーまで約2週間。



冬真っ只中。冷たい風が身体に吹き付け、寒さで手足が凍えている。


冷えきった両手に、スーパーの袋。袋の中には大量の板チョコが入っている。

実恋
実恋
(うぅ…。寒いし重いし…早く帰ろう…。)
優希
優希
あれ? 実恋(みこ)、何持ってんの?
実恋
実恋
(げ……っ!!)
帰宅途中、声をかけてきたのは、
隣の家に住む幼なじみの山田優希(やまだゆうき)だった。


優希は2歳年下の中学3年生。
昔から何かと私に絡んでくる、生意気な性格。
優希
優希
…ふーん。チョコレートねぇ。
優希
優希
バレンタイン、兄貴にあげるんだ?
実恋
実恋
べ…別に、優希には関係ないでしょ…っ!!
そうは言ったものの、図星だった。


私の名前は井上実恋(いのうえみこ)。平凡な高校2年生。


私は幼い頃から、優希のお兄ちゃんである山田光希(みつき)くんに恋をしている。


光希くんは同じ高校の先輩で、高校3年生。


端正な顔立ちに、綺麗な黒髪。透き通った焦げ茶色の瞳。


完璧なルックスに加えて、性格も素晴らしい。


人当たりが良く誰に対しても優しい性格の彼は、生徒からも先生からも慕われている。まさに学園の王子様的存在である。


そんな光希くんが、東京にある有名私立A大学に合格したと、風の便りで聞いた。


光希くんが、東京に行ってしまう…。


もうすぐ、会えなくなっちゃうんだ…。


だから今年のバレンタインデーが、最後のチャンスだと思った。


後悔したくない。


チョコレートを渡して、想いを伝えるんだ…!


バレンタインデーには、光希くんが好きだと言っていたトリュフを作る予定だ。


だけど私は、料理が大の苦手。作れる料理と言えばカップ麺くらいしかない。だから今日からバレンタインデーまでの2週間、毎日トリュフを作る練習をする!材料も買ってきたし、準備万端…のはずだった。


……優希からこの言葉を聞くまでは。
優希
優希
残念でした。
優希
優希
兄貴、最近彼女できたらしいよ。
実恋
実恋
…う、うそぉ!?
思わず、大声を出してしまった。


崩れ落ちそうになった身体を、何とか持ちこたえた。


驚きと戸惑いを隠しきれなかった。


光希くんは幼い頃からモテモテだったけれど、今まで彼女がいたことはなかった。


理想が高いのか…それとも実は好きな人がいるのか…なんて色々考えていたけど、


彼女……できたんだ。
実恋
実恋
(こんな形で失恋しちゃうなんて…)
実恋
実恋
はぁ…。
私はため息を漏らした。
優希
優希
そんなに落ち込むなよ。
当日恥かかなくて良かったじゃん。
確かに、そうかもしれないけど……。


ショックだった。長い間片思いしてたんだもん…。


想いを伝えられないまま、初恋が幕を閉じてしまうなんて…。


それに……。
実恋
実恋
こんなに大量の板チョコ…どうしよう…。
実恋
実恋
今日から毎日作る予定だったのになぁ…。
私の嘆きを聞いた優希が発したのは、意外な言葉だった。
優希
優希
じゃあ、代わりに俺に作ってよ。
実恋
実恋
へっ…?
優希
優希
俺、甘いもの好きだし♪
実恋
実恋
ちょ…何で私が優希に作らなきゃいけないのよ…っ!!
優希
優希
良いじゃん。どうせ他に作る相手もいないんだろ?
実恋
実恋
うっ…。
それは、ごもっともですが…。
優希
優希
俺、2月14日が高校受験なんだ。
甘いもの食べたら、受験勉強はかどるかも。
実恋
実恋
優希の受験日、バレンタインデーなんだ。
なんか可哀想…笑
優希
優希
うるせーよ!
実恋
実恋
…わかった。じゃあ優希のために作ってあげる。
チョコレート食べて、絶対合格するんだよ!!
ひょんなことから、私は毎日優希にチョコレートを作ってあげることになったのです。