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第7話

強くなりたい
「おはようございます。」 

とある雑誌の撮影現場。挨拶をするとまばらに返ってくる返事。どこか素っ気なく違和感を感じる。

「一昨日の撮影ダメにして、よくもまぁしゃあしゃあと来れるよね。」

そんな声も聞こえて後ろを向いた。同じ事務所の先輩である、真央さんが腕を組んで私を鋭く見ていた。

「す、すいません·····」

あれ、なんで私は一昨日の撮影を台無しにしたんだろう。確かに、過呼吸のようになり仕事を辞退したことは覚えている。しかし、その理由がわからない。わからないから、一抹の不安を感じる。

順調に撮影が進むにつれ、スタッフの顔も穏やかになっていった。

私にあの日何があったんだろう。今日がこんなにも上手くいくせいで、ますます疑問が強く残る。マネージャーに聞いたら、「週刊誌に撮られたことが原因」とだけ言われた。

今は小さなことでもパパラッチがしつこく追い回してくるし、過去に何度かそういったことがあった。もちろん大方でっち上げだ。

「なんだ·····。そんなことか。」

私はそんなちゃちな理由で一昨日の仕事をキャンセルしてしまったのか。真央さんが怒るのも仕方が無いのかもしれない。

私はあえてその事を調べようとは思わなかった。自分のエゴサーチをするとあることないこと書かれているのを見つけてしまう。そんな嘘に振り回されて、自分の心を痛めつけるなんて無駄な行動でしかない。

だから今も、週刊誌にどういう記事が出されたか見ないでおこう。もしかしたらあの日はもう既に知ってしまっていて、あんなにも取り乱してしまったのかな。

でも。まあいいか。

結局今は思い出せないわけだから、そこをあえて蒸し返す必要はないと思う。

私は紙コップに入ったホットコーヒーを啜り、頑張ろうと喝を入れた。苦味が口の中にすっと広がるのが、とても心地よかった。