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第8話

ブログに載らない
僕は明日、もう一度あの店へ行くことにした。

× × ×

会社には「すいません、吐き気と目眩と腹痛が·····」と、咄嗟に頭に浮かんだ病状を矢継ぎ早に並べて、一日休暇を取った。

学生の頃は何度かやったのことがあるズル休み。

さすがに成人した男が実行するのは気が引けたが今回ばかりは仕方がない。

人混みとは真逆の方へ足を進めていった。よく考えたら、あんな立地の店なんて儲けがないんじゃないかと思う。

今はフラペチーノが美味しいカフェだったり、写真映するタピオカだったりと競走率が高い世界だ。それにあの店員は愛想がない。

恐らく余程の用事がない限り、また来たいとは思わないだろう。赤字もありうるな。と、失礼な想像を繰り広げる。

確かにハーブティーは美味しかった。だが不思議なことに、あそこの【地名 ハーブティー カフェ 】で検索してもヒットしなかったのだ。今どきネットにのらないカフェがあるのだと初めて知った。

時代が時代なだけに、誰かしらブログに載っけていてもおかしくはないはずなのに。

薄暗い森林を抜けると、昨晩雨が降ったせいで風が冷たく感じられた。辺りは一昨日と変わらず閑散としていて、野良猫1匹通らない。それでもきちんとかかっている、OPENの看板。

手に力を入れてドアノブを下げる。

「いらっしゃいませ··········あ、一昨日の。」

無愛想にそう言うと、長袖のカットシャツをゆるりとまくる。さほど僕に興味がないんだろう。すぐに目線を下に戻した。

「こんにちは。お久しぶりです。僕のこと、覚えているんですね?」

「そんなにお客様は多くないので、顔を見ればわかりますよ。」

「じゃあ僕が·····、僕がこの店で忘れたことも覚えていますよね。」

この店主はあの日、『過去を消したいか』と僕に聞いた。そして、彼女はそれができると断言した。

そこまでは、はっきりとおぼえている。

「·····それを知ってどうするんですか?」