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第4話

新規【20代後半か30代女性客】
ところ狭しと壁にかけられたドライフラワーは量が多すぎる。ここの店は加減というものを知らないのだろうか。店内をぐるりと見渡すと、髪をひとつにくくった女性店員が1名。

目が合うと、「いらっしゃいませ」とだけ言った。にこりともしない。愛想がいい人ではないようだ。仕事柄、そういうことに敏感になってしまう。

「この店はどんなお店ですか?カフェでしょうか?」

私が尋ねると、

「カフェ、ではないです。カフェ紛いですね。とりあえず、ハーブティーでもいかがです?」

カフェ紛いの店員さんはそう言って、ガラスのポットからグリーンの液体を注ぐ。

「結構美味しいらしいですよ。」

「らしいとは?」

「私は飲んでないです。ネットで注文したのはいいのですが、よく考えたらハーブはあまり好きではありませんでした。」

この人は客に要らないものを押し付けているのか。ムッとしながらもカップを口に付ける。まるで、歯磨き粉をお湯割りしたような味だった。むしろ私が使っている歯磨き粉の方が美味しいかもしれない。

それを顔に出さないように、息を止め、一気に煽る。

「それで、あなたはどうやってこのお店を知りましたか。」

淡々とした口調で、じっとこちらを見ている。

「えっと、職場で噂になっていたんです。ネットやクチコミには一切情報が載っていない、幻のお店だと聞きました。何しろ、願い事を叶えてくれるとか·····。」

あれはたしか、私の担当のメイクさんだったような。

街の外れの、森林を抜けたところに古びた小屋がある。運良く辿り付けると、ひとつだけ望みを聞いてくれる·····。といった内容だった。

「なるほど。」

店主は小さくうなずいた。

「でもその噂は、少し違いますね。」

「ああ、そうなんですか。」

もちろんこんな都市伝説じみたものをはなから信じているわけじゃない。今の言葉で少しがっかりしたのは本当だが。

「まずはあなたのお悩みを聞かなくては、こちらからは何もして差し上げられません。」

「悩み·····。」

願い事は叶えられないが、悩みを聞いて助けてくれるということか。

私の業界の内部を知らない人なら、客観的アドバイスが心の痛みを和らげてくれるかもしれない。そんな期待を胸に抱く。

それに、私が叶えたかった願いと、悩みは紙一重の繋がりである。事の解決口が見つかる可能性もあった。