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2022/01/22

第86話

光と影
二体のマクロブは比較的離れた所に互いが出現していた。
討伐部隊の討伐対象に指定されていたM-888-JPNはチバ県との県境、ユウジが倒すよう指示されたM-889-JPNはヤマナシ県との県境の方へと出現した。

「まさか真逆の位置に出現するなんてな、ユウジは何目的だと思う? 」

「……そうだな、どちらかがどちらかを助けられないように、とか」

「俺もそうかなーって思ったけど、近くで戦わせた方が互いに被害を増大させられる可能性だってある。それに現にお前も討伐部隊も速攻でマクロブを倒す〜なんて無理な話だ、そうだろう?」

「確かに、それは言えてるかもな」

ユウジは普段座った姿勢から動けない反動なのか大きく伸びをして、静かに浮遊する弓矢のようなM-889-JPNと対峙する。
最近の傾向にあるように100mに満たないマクロブだが、推定されている強度はかなり高い。
ネーション=ウルティマの方も、質量以外の手段で我々の蹂躙に出ているのがすごくよく分かる。
ユウジにとっても、マクロブの血漿という完全に未知な物質の多量摂取をしなくて済んで好都合だ。
だがそれと同時に、あの物質の異物感こそが、ユウジに他の巨大なマクロブと戦うだけの力を与えているようにも思えているが。
そんな事を考えていると、M-889-JPNは上空へとより高く浮遊し、上から光で出来た矢を撃ち始める。

「今すぐ避けろ!えーっと、多分走って何か遮蔽物に!」

トウヤがそう叫ぶより早く、ユウジは反射神経に従って走る。
昔見たアニメの主人公がやっていたようにだ。
自分は主人公には永遠になれない、今この世界の国民にとっての英雄は討伐部隊だ。
時として影の英雄にスポットを当てた作品もあるが、その中の世界の人が見る英雄は、皆の前で輝く者なのだから。
ある程度の距離を取ると、射程にも限界があるのか、矢の雨は一度止む。
M-889-JPNに目を向けると、先ほどよりも大きく太い矢がユウジの方へ向けられていた。
弦がギリギリまで引かれていく。
いつあの矢は放たれるのだろうか?仮に放たれたとしても死にはしない。しかし回避しなければ恐らくもう一発来るか、M-889-JPN自体がこちらに近づいて矢の雨を降らせてくるかもしれないし、第三の手段を使った攻撃をするかもしれない。
矢が放たれた、そんな気がしたので、ユウジは少し後ろへ跳んだ。


その頃、討伐部隊も同じように、質量の暴力から脱したマクロブとの激闘を繰り広げていた。

「火で強度は下げた!やれー!」

ジョーウンの隊員たちが槍のような先端の鋭い頭部を持った蛇のようなM-888-JPNを止めている間に、カゲトラの銃撃班が確実に焦げた胴体の中心部を狙って発砲する。
マクロブにも痛覚は存在するのか、M-888-JPNがのたうちまわる。
このまま暴れられてしまっては困る。
だが、フランシスカは冷静さを欠く事はなかった。
突如、光で出来た紐のようなものがM-888-JPNに巻きつき、動きを拘束して見せる。
その紐を一人のカゲトラ隊員が引っ張り、マクロブの動きを封じてみせていた。

「銃撃続行、でも5分ごとに休憩して!休んでる間は近接戦闘班が銃撃班の攻撃したところを攻撃、胴体を切断するよ!」

三ヶ月前では考えられない程的確にフランシスカは指示を送り、火炎放射器をもう一度構えた。