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2021/08/09

第78話

領土なき国家
ネーション=ウルティマ。
3年前、侵攻してきたマクロブM-001の名乗った領土無き国家だ。
そんなふざけた国を放置しておく訳にはいかない。
しかし、マクロブを利用した地球全土への侵攻が、それを許可してしまっているのだ。

「ではリガード、いくつか尋ねたいことがある」

エレノアは堂々としたまま話をする。
だが、リガードはエレノアに対して興味のない様子で

「お断りしますね、あなたに用はないので」

エレノアは目に見えて不快な顔をするが、何も言わずリガードの出方を待つだけだった。

「では、本部長。僕はあなたと話をしに来たのだ」

リガードはエドワードの目を見てそう言う。
エドワードもそうなることを予測していたのか、平然とした様子で

「マクロブをけしかけてくる者がじきじきに話にくるとはな。こちらも都合がいいさ。ところで、ここには厳重な警備を用意したんだがな、どう侵入した」

恐れることなくリガードに尋ねる。
リガードはくすくすと笑って

「警備?ああ、あの粗悪な機械と人間の事ですか?邪魔だったので全員無力化させて頂きました」

よく見ると、リガードの着ている黒い服や、手には赤茶色の液体が付着している。
目立たないように黒を選んだのだろうが、血がシミとして出てしまっている。
恐らく警備員を皆殺しにしてきたのだ。
全くトラブルを増やしてくれると、ミズキは心底呆れていた。

「流石、マクロブの行動だな。野蛮極まりないよ。それで、ここには何を?我々も警備の者と同じ目に遭わせるつもりで?」

エドワードが挑発的に聞き返す。
ここで挑発したところで皆死ぬだけだ。
だが、ここで臆する真似を見せては完全に人間は付け上がられる。
それだけは阻止する必要性がある。

「そのつもりならこの建物ごと潰してますよ。僕だってマクロブですから。こんな小さな建物、指先で何とかなりますとも」

マクロブ対策機構報告会議の行われている本部は、一応は超高層ビルに分類されている建造物だ。
それすら簡単に葬り去るほどとなれば、今は人間と同じ視点で語るマクロブは史上最大の大きさを誇るマクロブなのかもしれない。
そんなエドワードの推測を知る由もなく、リガードは話を続け

「今回は簡単な話をしに来ただけです。私たちの方からも、HM-001の兵器としての登録はやめて頂きたい。それだけです」

リガード要求対し、各支部長が混乱を見せる。
どうして敵方がこちらの事情をしっているのか、どうしてその上で兵器登録を反対するのか、それにより敵には何のメリットを得られるのか。
分からないこと以外何も無いからだ。

「それは何故だ、彼が兵器であろうとなかろうと君たちには関係ないだろう。それとも、そちらの仲間に引き入れられなくなるからか?」

エドワードはニヤリとわらう。
だが、リガードは図星をつかれた様子はなく

「まあ、それもあります。しかし兵器は我々を滅ぼせば廃棄されるそうですね。まあ私たちは不滅ですが、最終的に死ぬなんていう運命を彼に課したくはないのです」

「それは同族故か?」

「別に同族であろうと人間に味方することは自由です。それにマクロブ一体味方についたところで戦況は大きく変わるまい」

リガードはそこまで言い切ると、深く息を吸い込み

「しかし、彼は私たちが仲間にせねばならぬ事情がある。それもあって、彼に死ぬ運命など与えたくは無いのだ。彼が私たちの敵である限り、彼は死に晒されるのだからな」

リガードが悲しみの色を言葉に見せるが、エドワードはそれを気にすることなく

「それでは別に彼を兵器にしたところで問題は無いということにならないか?感情的になるのは勝手だが、本来の目的を忘れてはならないよ」

リガードは舌打ちをする。
元々話し合いに慣れていないのもあり、上手く言葉を繋げられない。
知識が不足しているのだ。
これではミズキの助けになるのは難しい。

「言ったでしょう。いくら我々が不滅でも、彼に死ぬ運命を認めさせたくないと。私たちの仲間に入るのを拒むなら、せめてあなた達の仲間にだってしたくはないとも。……と、話し合いは僕には向かないよ。だから、やり方を変える」

それだけを言うと、リガードは破壊した扉から出ると、近くの窓を開けて飛び降りる。
しばらくすると、かなり遠くからと思われる爆発音が響き、その後リガードのものと思われる声がどこかから発される。

「シンプソン本部長、後で各州からの報告を聞いてみるといい。あれを兵器として登録してみろ。明日は我が身と思った方がいい」

空間を揺るがすほどの高笑いが響く。
室内でもうるさいほどに聞こえているのだ、外で聞けば鼓膜が無事では無かっただろう。
その声が止む頃にはエドワードの元には緊急の報告が入っているようだった。