さっきの宇佐美くんのことで周りから少し注目を浴びていたので私たちも部屋に戻ることにした
いつもホテルに泊まるときは胸が高ぶって仕方がないが今はそれどころではなかった
ベッドの上に座った沙羅はふぅ…と息を吐いて
煌くんのこと…と私を睨む
何の誤魔化しもなく答えた私
きっと、集合前、2人で話してたのかもしれない
と涙目に訴えてくる
何言ってるの?という顔をされる
私はその言葉を聞き流す
沙羅の言葉なんて今は聞きたくもない
沙羅は私の目を見て黙って話を聞いてくれる
それが少し嬉しくて。同時に切なくて
しばらく沈黙が続く
そして
そこにいたのは今まで見たことのない
悪魔のような心がドス黒い
笑顔の沙羅がそこにいた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!