走った
彼の元へ
全力で
嫌だった
二人が付き合ってしまうのが
やっぱり私には応援できない
と注意しながら何か他に言いたそうな顔をしている
私は頭を下げた
ここまでの出来事を話した
すべてを打ち明けた後の宇佐美くんの第一声は想像以上に呆れた声をしていた
と言いかけるが今までのことが思い返される
悲しそうな顔
涙
怒り
宇佐美くんは大きなため息をつく
集合前にそう彼に言われたことが頭に浮かんだ
表情からは分からないけれど宇佐美くんは怒っているのが声でわかった
宇佐美くんには1番謝るべきだと思った
1番関係のない人なのに傷つけてしまったから
と彼がつぶやいた
……そういえば何故、宇佐美くんはここにいるんだろう
今更ながら不思議に感じた
と少し切なそうに笑う
……ん?なんで今質問してないのに喋った…?
…いや、今はそんなのどうでもいい
宇佐美くん………
傷つけたのに
なんでそんなに優しいの…?
私は再び走り出した
あとは煌くんだけだ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。