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第3話

不安定な調律
涼風さんの演奏姿を見てから勉強に戻ったがどうにも集中できなくて1時間ほどして俺は学校を出た。
五十嵐 遥
五十嵐 遥
もう五時なのにこの明るさかよ...。
夏とは不思議なものだ。時間があれだけ経ったと感じてもまだ明るく、さっきの出来事もすぐ前のことのようだ。
五十嵐 遥
五十嵐 遥
また、聞きたいな...。
涼風さんの演奏を思い出しながら俺は眩しい太陽に向かって帰った。
それからというもの、俺は一心不乱に楽器のことを調べた。
五十嵐 遥
五十嵐 遥
全部かっこいいし綺麗なんだけどな...。
たかが普通の高校の女子高校生の演奏がプロに勝てるはずがないのはわかっているのに涼風さんの演奏がどうしても耳によぎる。それと同時に鼓動が早くなっていく。
今まで感じたことの無い胸の高鳴り。一体これは何なんだろうか。
榎本 和樹
榎本 和樹
それ確実に恋っしょ!
五十嵐 遥
五十嵐 遥
ブハァ...!!!!
幼馴染の榎本和樹に昼飯を食いながら相談をしたら大声で言われて飲んでたカフェオレを吹き出してしまった。
榎本 和樹
榎本 和樹
遥汚ねえよ(笑)
五十嵐 遥
五十嵐 遥
そりゃ急に恋だなんて言われて吹き出さねえ奴がいるかよ!
俺は和樹の言葉に動揺してしまった。だが和樹は真っ直ぐな眼差しでこちらを見ながら続けた。
榎本 和樹
榎本 和樹
だって遥に限って四六時中考えてる人がいるなんてなかったじゃん?
確かに...。言われてみれば好きな人と言える人は小中全くと言っていいほどいなかったし、告白されて付き合ってみたものの話すのがあんまり楽しくなかったりした。
榎本 和樹
榎本 和樹
まあ、普段の涼風さん全然喋ってるとこも笑ったとこも見ねえからギャップ萌えってやつはするかもな!(笑)
俺が吹いたカフェオレを拭きながら和樹は笑いながら言った。
榎本 和樹
榎本 和樹
まあいいや、俺今から部活だから勉強頑張れよ〜!
そう言って立ち上がった和樹はサッカー部に所属しているので部活へ行った。あいつも部活があるのに勉強している俺に合わせて部活までの時間一緒に勉強して一緒に昼飯食べて部活行くだなんて優しいやつだよなと思いながら弁当箱を片付けながら思った。
五十嵐 遥
五十嵐 遥
俺も勉強頑張りますかっと...。
そう言いながら俺は長い伸びをした。程よく教室に入ってくる太陽と外から聞こえる運動部の声が俺のペンを走らせた。
五十嵐 遥
五十嵐 遥
恋ねぇ...。
独り言をボソッと呟いてきたけど聞こえるのは外から聞こえる運動部の声だけ。
もし俺が今涼風さんを考えてしまう気持ちを恋と名づけることができるなら俺は心臓を弓で射抜かれるような気持ちだ。
彼女の顔が脳裏に焼き付いて離れない。美しいサックスの音色、真剣な顔、可愛らしい笑顔。俺はもしかしたら本当に恋をしてしまったのかもしれない。
そんなことを考えていたら涼風さんに会いたくなった。まともに話すこともままならないのに。
五十嵐 遥
五十嵐 遥
ちょっと散歩しようかな...。
そう言って俺は教室を勢いよく出た。