─あなたside─
私は窓際の一番後ろの席に座っている。
この時間は陽も当たってとても気持ちが良い。
私の耳元で。
そう囁いたのは隣の席のしゅん君。
私はどうやら寝落ちしていたらしい(笑)
まだボーッとしている中
しゅん君は、 「 お は よ う(笑)」
なんて言いながら、
いつもの爽やかスマイル全開だった。
キーンコーンカーンコーン
6限目終了のチャイムが鳴る。
皆ガタガタと片付けをし始める。
私は「ハッ」となって慌てて片付けを始めた。
─せりしゅんside─
あなたは慌てて片付け始めた。
ガシャン
焦りすぎて筆箱を落とし、
中身が床に散らばってしまった。
あなたが拾おうとする手を俺が掴む。
しっかり目を見て伝えるとあなたは
なんて少し顔を赤く染めていた。
....よし。
俺は筆箱を拾いたい訳でもなんでもない。
授業中ずっとポケットに入れていた紙....
『今日、一緒に帰ろうよ』
たった一文。
そう書かれた紙をどうにか渡したかっただけ。
素っ気ない感じだったけど
少し紙がチャックから見えるように渡した。
そのまま終学活を迎えた訳だが、
俺は横目であなたをずっと見ていた。
─あなたside─
筆箱に何か紙が入っている。
私が落とす前まで入っていなかった紙。
そっと取り出してみると、
四つ折りに折られた紙が入っていた。
開いてそこに書かれた文字を読み進める。
『今日、一緒に帰ろうよ』
差出人は誰かすぐに検討がついた。
私はふっとしゅん君の方を見つめる。
たまたま目が合って
お互いすぐそらしてしまった。
──────────────────かなり飛びます──
─あなたside─
しゅんくんは掃除当番がないので
さっさと部活に行ってしまった。
私は掃除を終え、
自分の席_窓際の一番後ろの席に座る。
私は誰もいない教室で、
校庭にいるしゅんくんを見ていた。
私の学校は部活が盛んで強豪チームが多い。
その為部活動無所属..
いわゆる帰宅部はほとんどいなかった。
ほとんどいないと言っても、
受験を控えている人や、
クラブチームに入っている人くらいしか
帰宅部はいなかったのだった。
私の所属する部活はたまたま定休日だった。
─せりしゅんside─
空が夕焼けに染まる頃。
俺はサッカー友達と
リフティングをして遊んでいた。
ボールを目で追いながらやるものだから、
ボールが上に上がって上を向く。
3回の教室から誰かが見ているのに気付いた。
よく見てみるとあなただった。
俺は悪戯混じりの笑顔で手を振ってみる。
あなたは恥ずかしそうに振り返してくれた。
なんて適当に言い訳して
活動場所から教室までダッシュする。
俺が息を切らせて教室に入ると、
あなたは机に顔を伏せていた。
....つまり寝落ち。
俺は息を整えて、こっそりあなたに近付く。
何故か少し悪戯したくなった。
あなたはまだ少し寝ぼけている。
俺は後ろからあなたに抱きついて、
そう耳元で囁いてみる。
Kiss
俺はあなたの首に手を回してKissをした。
もう俺は狂ってる。
いや、
あなたが俺を狂わせた。
あなたを椅子から立たせて床に押し倒す。
↑
↑
(あの、もちろん勢いよくじゃないですよ、)
(バンって倒したら痛いですからね?)
そう言ってあなたは顔をそらす。
俺はあなたの右手首を固定していた右手で
あなたの顎を引く。(アゴクイッテヤツ?)
もうあなたはなにも対抗出来ない....
Kiss
誰もいない教室に二人きり。
深いKissのいやらしい音が響く。
俺はニヤッと笑ってみせた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。