第2話

魔族と人間 前世の記憶
魔王城、最高峰。黒煙の部屋。
魔王パウーラの周りを取り囲むように勇者パーティーがいた。

「...だろ? なあ、魔王さんよー。」

「フンッ、生意気な。だがまあそれが可愛い。」

魔王の椅子に座るパウーラ。俺は、アクワーはパウーラの膝枕で至福のひとときを味わっていた。

「お前さぁ、器デカくなった?」

「当たり前だ! 魔王様だぞ。」

当然というように「ふふん」と鼻を鳴らすパウーラ。

「器もデカくなったけど、おっぱいもデカくなったよな!」

ピシッ、と今までの空気が一変して冷ややかな冷気がまとわり付く。
すると勇者パーティーが魔法使い、グリフォスが沈黙を破った。

「勇者様、それはあんまりでは無いですか? いくら"魔王様が貴方の妹君"だとしても言っていいこと悪いことがあります。」

魔王パウーラは女性だ。もっと言ってしまえば勇者アクワーの妹だった。

勇者と魔王が対立関係にあって幾数年。そんな時代も変わりつつあった。
つまり、勇者と魔王は仲が良いのだ。人間や魔人のほとんどがお互いを嫌っているだけで上層部は平和だった。
だが、表向きは勇者と魔王。人々の期待に応えなければならない。



これまでは良かったのだ。



一般企業に置き換えてみよう。1人の社長がいるとして、社員全員がその社長に不満がない訳がない。誰かが何か革命を起こすこともある。そのせいで勇者アクワーは死んだのだ。

10年後。

「とうとうこのままじゃダメになった。魔王さん、いやパウーラ。分かってるだろ?」

「10年続いただけ良かったとしましょう。」

「分かっている。私が死ねばいいのだろう? 勇者ーお兄ちゃん。」

人間達、魔人達が反乱を起こすようになった。もう彼らだけで抑えつけれなくなってしまった。

魔王が意を決したように目を閉じ、歩み寄ってきた。
アクワーは口を開いた。

「違う。死ぬのは俺だ。」

その場にいた全員が目を見張ってアクワーを見た。

「俺は平和な世界を作りたい。転生するよ、だからお前らにあとは任せた。」

「結局人任せですか。誰も犠牲者を出さない方法を教えましょう。」

勇者アクワーは考えを説明した。
魔人達には人間を贈呈する。その人間は死刑囚になった者で単に執行方法が魔人に食われるに変わるだけだと、だがそれでは死刑囚が出ない可能性があるのでそれは国の王だけが知ることに。

「俺の死体を見れば納得してくれるだろう。」

「考えがサイコパス、鬼畜です。」

「イヤよ、お兄ちゃんが死ぬなんて。」

魔王はすっかり妹の顔に戻った。
今現在国は12カ国ある。

「まあ、死んだあとは人任せだがな。頼んだぞ。パウーラ、グリフォス。」

【転生魔法・魔法陣展開】

「じゃあな。」

すると天地が一回転し、逆さまになったような感覚に見舞われた。そこで勇者アクワーの記憶は途絶えた。