riki side
あなたとはシフトもだいたい同じだったから徐々に仲良くなっていた。
俺は1人でいるのが好きで他の人には本心を見せない性格だったけど、俺に気を遣いつつも明るく接してくれるあなたと話すようになって、少しずつ心が開いていった気がする。
ふとした時にみせるあなたの笑顔に心がギュツとなる事があったけど、気のせいだと自分に言い聞かせた。
ある時、あなたになんでバイトをしているのか聞いてみた。通っている学校も世間では名の通ったお嬢様学校で偏差値もすごく高い学校だ。
普通ならバイトなんてしないと思った。
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あなたが珍しく困惑した表情を見せたのを俺は見逃さなかった。
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あなたから出た意外な言葉に驚いた。
真面目で勉強にしか目がなさそうなのに、そういう一面もあるんだな〜と思ったから
僕は「意外だね」と言った。
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その時のあなたは少し悲しそうだった。
でも、バイトをしている理由はあなたらいしなと思った。
この数週間、バイトだけの付き合いだったけど、仕事に打ち込む姿とか一生懸命なところをみていたから、誰かのためっていうのがあなたらいしと思った。
それから、俺達は自転車を押しながらあなたの家の前まで帰るのが習慣になっていた。
そう言って、俺はあなたが家の中に入るのを確認してから、元きた道に戻る。
家が反対方向なのに、なんでこんなことしてるのかって自分でも思うことがある。
でも、初日にあなたを暗い道で1人で帰らせるのは心配だから店長に今日だけ送ってあげてと頼まれた。
その時は、めんどくさいと思ったけど1日だけならと思って承諾した。
でも、いつの間にか俺があなたの事が心配で家が近いかのようにあなたの家まで着いていくようになった。
そして、その時間が楽しみの1つになった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。