聞いてしまった。悟の過去のこと。
夏油傑のことや百鬼夜行、
天内理子の護衛と抹消の時のこと。
恵のお父さんのことまで。
わからん、悟はそう言いながら私に寄りかかった。
潰れる……
なんて傲慢な。
私は悟のこと大半は知ってるつもりでいたけど、
話聞くと知らないことばっかだったな。
甘党になった理由とかもさっき知ったんだが?
沈黙が続く中、時計の針の音が聞こえる。
悟は私に寄りかかったままだ。
何を考えているんだろう。
悟が突然そう言い出すもんだから、
下を向くと悟はこっちを見上げてこういった。
興味ねー、とか思いながらまた前を向く。
時計の短針はそろそろ9を指そうとしていた。
ボーッとしてると、
いきなり体にズン、と重みがきた。
悟の方を恐る恐る見る。
……………寝てやがるんだが。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。