あれからまぁ色んな所をブラブラし、
高専に着く頃には日が落ちかけていた。
悟の割には素直だな、いや、なんか そうじゃない、
子供っぽいというより、
少し若い頃に戻った感じの……
なんだろう、表現しにくい。
皆で過ごした事が楽しかった。
これは傍から見たらふぅん、って感じなんだろうけど、
悟のいう事はもっとなんだかわけが違う感じがした。
こいつもしかして、
ろくに青春を歩んでなかったのでは……?!?!(
ビクッと悟の肩が揺れる。
悟が私の座るソファの隣に座った。
過去のことは過去のことだ、
それが私の考えですけど何か。
うじうじして振り返っても仕方ないでしょ。
だって過去なんだから。
悟がテレビのリモコンを取ろうとする手を迷わず掴む。
いつかこいつがしてくれたように。
今度は私がこいつを知るべき時だ。
そこまで言うなら仰せのままに、
悟はそう言って再び口を開いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!