(はぁ…はぁ…どうしよう。どうしよう。どうやったら戻れるのかな?怖い、捕まったら何させられるか分からないわ。どうしよう。)
私は完全に混乱していた。ふーかの笑顔が怖かった。少なくとも私の知っているふーかではない。私とアランが話していたふーかは、風を操れる優しい女の子で、あんな狂気染みた笑顔を浮かべるような人?ではない。
「おー……だ……」
誰かの声が聞こえてくる。誰だ…この声は…??いや、この声は…聞き覚えがある優しい声、もしかして…?
「アラン!?アランなの!?」
私は必死になって彼の名前を叫んだ。届いて、この声!
「リティ!良かった…掃除してたかとおもったらいつの間にかこんなところにいてさ、困ってたんだ」
やはりアランであった。良かったよ…。だが、ここでひとつ疑問に思った。こんな所…って言ってるってことはファンタジーワールドのこと、覚えてないのかしら?それかまだ誰にもあってないのかしら?
「とりあえず、ここはどこだか知っていたりしないか?リティ」
アランは訪ねてくる。
「突然のことで、信じられないかもしれないけど聞いてほしいことがあるの。」
そういい、私は今までのことを話始めた。てふぃーやあふぃーにあったこと、ふーかとけふぃあにあったこと。ふーかの笑い方が狂気染みたものだったと言うこと。いきなり怖くなって逃げ出したこと。その、全てを
「そっか…この世界どこかで見たことあると思ったら…ファンタジーワールド…だったんだな。それでふーかか…何か嫌な予感がしたんだな。OK、大体理解した。リティは質問とかあるか?」
今度は私に質問を投げ掛けてきた。私は率直に思ったことを口にする。
「アランはこの世界から出る方法とか何か知っていない?一応きいておきたいの。」
「残念ながら…聞いてきたってことはリティも知らないんだな」
アランは残念そうにいった。私は反射的に謝ってしまう。
「ごめんなさい…」
「別に謝ることではないよ。」
アランは優しいいつもの声で言ってくれた。
「じゃあさ、リティとりあえずこの辺り探索しようぜ、」
「そうね」
アランと一緒ならきっと大丈夫。こうして、探索の時間が始まった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!