第4話

一章 二節
62
2019/09/01 13:29


 リティアの頭にはいつかの情景が浮かんでいた。いつの話だろうか。幼い少年と少女が一緒に話しているところが見えた。リティアは懐かしそうにその事を思い出す…

「アラン兄ちゃん!今日もリティ一緒にお話しして!」

アランと…そうこえをかけられた少年は振り向く。

「あ…リティ!別に同じ年なんだから…兄ちゃん何て呼ばなくても…まあいいか。今日はどんなお話しようかね~?」

リティアは目をキラキラさせて話す。

「アラン兄ちゃん!ファンタジーワールドのお話を考えようよ!昨日はね~くまちゃんが出て来てねこちゃんが出てきてね~」

とても楽しそうに話しているリティアの話を聞きながらアランはうんうんとうなずいている。まるで兄妹のように仲良しな二人の姿。それはリティアにとっては懐かしものであり唯一、自分が自分でいられた時だと今となっては思っている。幼い彼女を見てリティアはふっと微笑み、消えた。次に見えたのはいつもの教室だ。やっぱりみんな騒がしい。リティアはそんな教室でただ一人だけ古ぼけたノートを開き、思い出に浸るのであった。

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